磯子警察署の署長を務める 中村 高久さん 磯子区在勤 56歳
思いやりの心で地域を守る
○…3月19日付で磯子警察署長に着任。初めて勤務する磯子区で、自身にとって初の署長職を務める。地域とより近い場での職務に「皆さんが愛着を抱いているこの地域を守るためには、地域の方々の協力が必要」。犯罪や事故を1件でも減らしていくために、署員らとともに全力を尽くす。
○…東京都出身。中学の時、父の勧めから警察官の仕事に興味を持った。「警察は人の役に立てる仕事という印象。自然と惹かれていった」。高校卒業後に入庁し、警察学校を経て最初に勤務したのは伊勢佐木署。その後、機動隊や生活安全部などを渡り歩いた。第二機動隊で分隊長を務めていた1995年には、阪神・淡路大震災の現場へ派遣されて防犯警戒に従事。火事場泥棒などの警戒に当たる中で市民から直接感謝の言葉を掛けられることも多く、「人の役に立つことを実感できたし、こちらが勇気づけられた」。この時の経験は、現在も警察官としての指針となっている。
○…かつてはツーリングを楽しみ、磯子から三浦半島まで国道16号線を抜けて出かけることもあった。ここ10年ほどは読書が趣味。最近読んだ町田そのこさんの著書「52ヘルツのクジラたち」からは、「助けを求めたくても、声を届けられない人もいる。そうした声を聞き取ることも我々の役割だと改めて感じた」という。本を通して視野を広げながら、気づきを仕事にも生かそうと考えている。
○…仕事をする上で大切にしているのが、思いやりを意味する「忠恕(ちゅうじょ)の精神」で、着任にあたり署員にもその思いを伝えた。「相手を自分の家族と思うような、思いやりの気持ちが地域を守ることにつながる」。安全で安心できる磯子区を目指し、思いやりの心を広げていく。