横浜の総鎮守としても知られる伊勢山皇大神宮の宮司や神職、巫女22人全員が9月1日付けで西消防団に入団した。これに伴い、西消防署は神社としては市内初となる「消防団協力事業所」として認定し、9月28日に表示証の交付式が行われた。
消防団協力事業所とは2006年に始まった国の制度。全国的に減少傾向にある消防団員の団員確保のため、企業や事務所を「協力事業所」に認定して団員になりやすい環境を作ろうというもの。横浜市内ではこれまで西区の横浜中央ヤクルト販売など6つの事業所が認定されているが、神社としては市内で初めての認定となる。
「関東のお伊勢さま」として親しまれている同神宮は、1870(明治3)年に国費で創建され、神奈川県の宗社、横浜の総鎮守とされている。関東大震災や横浜大空襲の際は、近隣住民が火災から逃れるように高台にある境内に避難した。「昨年の東日本大震災でも近隣の学生らが境内に避難してくるなど、改めて私たちが災害時に何ができるかを考えるきっかけになりました」と池田正宏宮司。震災後から避難者向けのペットボトル飲料水など備蓄の強化を進める一方で、「初期消火や救助の方法を知っておけば、普段お世話になっている地域の役に立てるのでは」と今回の入団を決めた。今後は全員が西消防団(原口幸多夫団長)の第1分団に所属し、消防団員として救護や消火ポンプ、AEDなどの使用の訓練を受ける。
交付式で池田宮司に表示証を手渡した西消防署の松原署長は「伊勢山皇大神宮の皆さんが消防団員であるということは災害時だけでなく、日頃の参拝などでも市民や我々消防機関にとっても大変心強い。訓練を重ね、ぜひ地域の防災、減災の大きな力となってもらいたい」と感謝を述べた。
今回の入団で西消防団の団員は10月1日現在で228人となり、市の規則で定める定数230人に対して9割を超えた。横浜市全体でも震災以降、増加傾向にあるという。=中面「人物風土記」に関連記事あり
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