准看護師停止問題 県方針に波紋広がる 市内でも賛否両論の声
神奈川県が6月に打ち出した准看護師の養成停止の方針について、9月27日に外部有識者検討会の第二次報告が発表された。関係団体から様々な意見が出るなか、県内の准看護師のうち約35%が働く横浜市の現状を追った。
6人に1人が准看護師
県の統計によると、横浜市内で働く看護師と准看護師の合計は2万4910人(2010年)。准看護師は4026人で、およそ6人に1人が准看護師という計算になる。病院や一般診療所のほか、介護・福祉の現場でも多くの准看護師が働いている。
横浜市内では看護職員不足が長年の懸案だ。市が今年6月に行った調査では、市内109病院のうち、採用目標に足りなかった人数は187人だが、理想とする看護職員数までは更に868人と、看護職員のニーズは依然として高い。
「拙速」議論にとまどい
今回の県の方針に対して横浜市医師会は「拙速すぎる。将来的には様々な議論があるべきだが、現状で地域医療を支える准看護師の養成を直ちに停止すべきでない」と反論する。横浜市病院協会も「看護師不足解消のために看護学校の定員増や、准看護師から看護師への移行制度を整えてから話を進めるべき」と話す。
一方で、神奈川県看護協会は「国でもずっと議論されている通り、より高度で専門化する医療の現場では、2年間で養成する准看護師では対応しきれない。働きながら看護師の資格が取れる仕組みなどを考えながら看護師不足を解消していくことが大切」と訴える。
市「不足解消が第一」
准看護師は介護や福祉施設でのニーズも高い。市内の特別養護老人ホームを運営する事業者でつくる横浜市福祉事業経営者会は「現状では看護師がなかなか福祉施設に来てもらえず、准看護師が重要。養成停止なら、現在の看護師の配置基準等を見直してもらわないと厳しい」と話す。横浜市は「市としては看護師・准看護師に関わらず不足解消が第一。今後も県や各団体と協力して、看護職員の確保に努めたい」としている。
県の検討会は12月をめどに最終報告を提出する。各方面から様々な声があがる中、市民の命と生活にとっても大きな問題だけに、今後の議論が注目される。
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