横浜市教育委員会は、来日したばかりの児童・生徒が日本の学校のルールや習慣を学び、学校生活や日本語に慣れてもらう「プレクラス」を9月6日から始めた。中区にある日本語支援拠点施設「ひまわり」(旧富士見中学校跡地)=中区山田町3の9=を活用する。
市教委によると、日常会話や授業内容の理解が困難で、日本語指導を必要とする児童・生徒の数は今年5月現在で市内に2080人。ここ5年間で約75%増えている。特に中区も学区に含まれる南吉田小=南区=は約6割、横浜吉田中=中区=で約5割が中国をはじめとした外国につながりがある。中国で学年が切り替わる9月は特に多くの転入があるという。
「プレクラス」の対象は、来日したばかりで日本語指導が必要な、これから市内の小中学校に通う予定の児童・生徒。小学校低学年・高学年・中学生と3クラスに分かれており、定員は各20人。登校期間は4週間・12日で、週の前半2日は通学する学校に行き、後半3日はプレクラスに通う。
利用には通学する学校の許可が必要。同施設で週1回実施している、入学前に来日した保護者に向けたガイダンスの中でプレクラスを説明し、多くはその場で申込みに至っている。
教師2人が対応
授業は日本語、算数のほか、国によっては教科ではない図工や体育、音楽、家庭科なども行う。また学校でのルールを学ぶ時間もある。教員は教員免許の資格者と、日本語指導の資格保持者2人がペアを組む。日本語理解度に応じてクラスを2組に分け、同じ授業内でも日本語習得メインの授業と教科自体の授業を別々に行う。授業内容は通学先の学校と共有。学習状況の把握をしやすくしている。
教室内の掃除用具入れには教室や廊下の清掃方法がひらがなで記されている。また、学校行事で歌うことが多い「横浜市歌」の歌詞もひらがなで掲示。曲も流すという。
8割が中区と南区から
9月6日からスタートした1期生は、小学校低学年が14人、高学年が18人、中学生が20人の合計52人。ほぼ中国にルーツを持つ子で、中区、南区在住者が8割を占める。中区の学区からは本町小=中区=、東小=西区=などの児童が通っている。中学生の大半は横浜吉田中の生徒だが、中には戸塚区や旭区から通う生徒もいる。
校長にあたる統括責任者を務める出川進さんは、横浜吉田中での校長経験があり外国籍生徒の実情にも詳しい。「日本に来たばかりで不安を抱える子どもたちに一日も早く日本の文化に触れてもらい、学校が楽しいなと思ってもらうのが理想。そのためにも日本語を理解して自分の気持ちを表せるようになるのが大事」と指摘する。
保護者からの反応も上々だ。中国福建省出身で小学2年生男子の母親は「親切な制度で、外国人のことを考えてくれている。子どもにはできるだけ早く日本の生活に慣れてほしい」と話した。
イラストやクイズ形式の授業は新鮮なようで、中国出身の高学年クラスの女子児童は「中国の学校と違って優しい雰囲気。授業も遊びながら覚えられそう」と笑顔を見せた。
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