高齢者がボランティアをした際にポイントが得られ、換金や寄付ができる「よこはまシニアボランティアポイント事業」が10月で10年を迎える。登録者は2万人を超え開始直後の10倍になった一方、施設と活動者のマッチングに課題があることがわかってきている。
2009年10月に政令市で初めて導入された同事業。高齢者がボランティア活動を通して生きがいを得て、健康づくりや介護予防につなげることが目的だ。10年3月に2000人程度だった登録者数は現在2万人超。昨年は約半数の1万707人が実際に活動した。
受け皿は高齢者施設や地域ケアプラザ、病院など。職員の補助や調理、レクリエーションなど趣味や特技を生かした活動ができる。1回の活動ごとに200P(ポイント)が得られ、年間で8000Pを上限に、1P=1円で換金できる。市内で民謡披露を通したボランティアを行う中島鷗舟さんは「必要な道具の購入ができ、活動に弾みがつく」と話す。
市健康福祉局は「活動を行うための必要な研修は施設が独自に開催できるため、すそ野が広がりやすい。ボランティア受け入れ施設数も拡大し続けている」と登録者が増えている理由を分析する。
地域で独自の取組み
戸塚区のある施設担当者は「利用者に向けた唄や楽器演奏など趣味を生かしたボランティアが多い。楽しませてくれてありがたい」と話す。一方で活動者からの声として「施設に直接申し込むのは敷居が高く感じられ、ちゅうちょする」といった声があるという。高齢化問題を調査する国際長寿センター(東京都)の担当者は「ボランティア経験のない人には、適した活動につなげるコーディネーターの存在が求められる」と説明。登録者数に対して活動者数が半数に留まっている要因の一つがそこにあるようだ。
この課題に対し港北区社会福祉協議会では、区内地域ケアプラザと連携し昨年11月、独自の研修会を実施。施設が求めるボランティアを紹介するなどマッチングの場をつくった。「55人が参加し3分の1がボランティア未経験者。『一歩踏み出すきっかけになった』という声もあり、今後も継続したい」と話す。
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