中区で人口の約11%、西区では約5%を占める外国人。東日本大震災から10年の節目にあたり、災害時に情報が十分に伝わらない懸念のある外国人について、改めて日ごろからの情報共有が求められている。
横浜市国際交流協会は、3月11日の震災当日に横浜市との協定に基づき「外国人震災時情報センター」を設置。翌年3月までの開設期間中、4言語(日本語・英語・中国語・スペイン語)で116件の相談があった。
内容は余震や原発、計画停電、安否確認など様々。担当者は「外国の方の中には、地震の概念がなく、地面が動くこと自体が理解できない人もいます」と説明する。また、治安が悪い地域からの来日者には、地震をテロや戦争と混同して不安がる人もいたという。避難所で配給される水や食料に料金が発生するのではないかと不安視するケースもあった。
高い言語の壁
中区役所別館の「なか国際交流ラウンジ」の中村暁晶館長は、発災翌日、中国語圏の人が多数居住する区内マンションが傾いたとして区役所から通訳を依頼された。
地域防災拠点の港中学校に集ったマンション住民は、日本人と中国系の人たちで分かれており、言語の壁から正確な情報が伝わらない状態だったと中村さんは振り返る。
情報の乖離、認識を
同ラウンジの学習支援教室の卒業生からなる、多文化共生などの活動を行う「にじいろ探険隊」は、地域貢献の一環として中区埋地地区の防災訓練に参加している。中村さんによると当初、何をする取り組みなのか、どんな状況になったら集まるのかなど、探険隊メンバーの多くが、そもそも「防災訓練」が分からず戸惑っていたという。
中国出身である自身の経験も踏まえ中村さんは、外国人の防災に関する知識や情報が、日本人と乖離(かいり)していると指摘する。また、外国人の感覚として「訓練にただ参加を呼びかけるのではなく、なぜ実施するのか、なぜ参加する必要性があるのか、その根拠や理由を明確にしないと行動しづらい」と話す。
行政も情報発信
中区では、中学生向けの防災冊子の中国語版と英語版を作成、4月から中学校などに配布予定だ。また転入外国人向けのウェルカムキットにも、防災冊子を入れて情報提供を行う。西区では英語・中国語に加え韓国語・ネパール語・ベトナム語版の防災マップを3月末までに完成させる。
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