本牧 気まぐれ歴史散歩【番外編】 今年は卯年『中区とウサギ』
十二支は元来、植物の生長を表すものですが、十二支に霊獣などを当てはめるようになり、卯は兎となりました。方角も日が出ずる方角が卯(東)であったことから、卯年は若葉を茂らせ、跳躍する年とも言われています。兎は鳥獣戯画やカチカチ山、兎と亀といったような風刺画や昔話の中で良い役・悪い役としても登場する古くから身近な動物でした。
ところで明治6年(1873年)と昭和6年(1931年)頃に「兎バブル」というものが起き、中区の横浜港から大量の兎が輸入されることがありました。明治初期には西洋品が珍重される中で、明治6年には兎投機と呼ばれる兎の高額売買が流行となりました。取引を巡る殺傷トラブルが多発し、兎の売買禁止や、兎の飼い主に兎税を課税するなどの措置がとられました。兎を擬人化した風刺画「兎絵」が流行になり、「兎狸月下問答」「兎の問答」というバブル経済を戒める教訓本なども発刊されました。昭和6年には、欧米で羊毛より安価なアンゴラ兎の毛が使われるようになり、日本でも羊毛に代わる繊維素材としてアンゴラ兎を輸入して育てるという「アンゴラ狂乱」という現象が起きました。世界恐慌後の日本で、安価で容易に飼育でき、多産で稼げるという噂が拍車をかけたようです。
どちらも嘘のような本当の話なのですが、鳶目兎耳(えんもくとじ)というように、鋭い情報収集能力を身につけることが大切なのは、今も昔も変わりないことのようですね。(文・横浜市八聖殿館長 相澤竜次)
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