中区・西区・南区 コラム
公開日:2023.06.22
本牧 気まぐれ歴史散歩 68
『妙香寺谷戸』
明治初期の北方の街並み
横浜の居留地で暮らす外国人を対象に明治3年(1870年)から月2回刊行されたThe Far Eastという新聞には、現像した写真を新聞に貼り付けて販売していました。その写真は当時の日本の様子を知ることができる貴重な資料となっています。開港場となった横浜から近い本牧の話題もこの新聞で掲載されたため、当時の本牧の写真も数多く残されています。
この写真は明治4年(1871年)3月の新聞に貼り付けられ「妙香寺谷戸」との付記があることから、地蔵坂上から桜道を下り、妙香寺が建つ丘の下を通っていた外国人遊歩道から、妙香寺の東を北へと延びる谷戸の街並みを撮影したものかもしれません。北へ延びている道だと仮定すると、影の向きと長さから西日が差している時間帯なのかもしれません。
街道沿いに雑貨屋らしき店舗や、大きな杵の上に載って精米する人の姿、天秤で何かを運んでいる姿が確認できます。また街並みも奥まで店舗らしき建物が隙間なく並んでいる様子もうかがえます。また木々から隙間が見える比較的平坦な尾根が長く連なっている様子もわかります。明治初期当時としてはかなりの賑わいある街並みです。横浜が開港場となったことで、北方地区が繁栄していく様子が感じられます。みなさんも、この写真がどのあたりなのか、写真片手にかつての街並みを想像しながら探してみてください。
このあとは、妙香寺前の外国人遊歩道を東に向かって進んでいこうと思います。(文・横浜市八聖殿館長 相澤竜次)
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