障害者後見支援 制度浸透は道半ば 「あんしんキーパー」拡充も課題
地域の障害者とその家族を対象に、定期的な訪問、相談によって日常生活を見守り、サポートする「横浜市障害者後見的支援制度」がスタートして、半年を経過した。横浜市が全国に先がけて取り組み注目を集める制度だが、浸透にはなお時間がかかりそうだ。
横浜市障害者後見的支援制度は、登録した障害者とその家族を対象に定期的な訪問と相談を通じて、地域での日常生活の見守りとサポートを行なうもの。昨年10月に南区、保土ケ谷区、都筑区、栄区の4区で始まり、平成25年度までに12区、その後、段階的に全区での実施が予定されている。
背景には「横浜市障害者プラン(第2期)」策定のためのニーズ把握調査などにより、障害者とその家族には親が高齢になったり亡くなったりして、世話ができなくなることに、強い不安を抱いているという結果が出たことにある。実際、従来は障害者の親が突然倒れたりした場合、本人が施設への入所を希望しても空きがなく、数カ月にわたって短期の入居施設などを転々とするケースもあった。
同制度では日頃から障害者とその家族に関わることで、これまで障害者の親が担っていた役割を、運営法人などを含めた「チーム」で担い、障害者本人や家族の不安軽減を目指す。
今後の課題は制度そのものの認知度向上だ。2月末の時点で同制度への登録者は77人。市健康福祉局は障害者施設や保護者の会などでPRを図っているが、「制度そのものが分かりづらい」といった声も多いという。
また障害者への訪問や見守り体制を作るあんしんマネージャーへの連絡を担う「あんしんキーパー」の拡充も課題となりそうだ。市は、キーパーの担い手を障害者福祉の関係者だけでなく、自治会町内会の会員、民生委員、ボランティア団体などに広げることで、地域全体で障害者を見守る仕組みを構築したい考え。しかし実際にキーパーに登録するのはわずか18人で、大半が施設等の関係者だ。「高齢の障害者や親には新しい人間関係を築くことに抵抗のある人もいる。すぐに見守りの担い手を地域に広げることが正しいか分からない」(運営法人の関係者)という声もある。前例のない制度だけに、関係者の試行錯誤が続くことになりそうだ。
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