いのちの電話 つながりにくさ続く 相談員の確保が課題
民間ボランティア団体が運営する自殺予防のための電話相談「いのちの電話」がつながりにくい状態が続いている。昨年1年間で毎月10日の無料相談の日に通話できたのは、かかってきた全件数の約4%。「横浜いのちの電話」(保土ケ谷区)でも同程度につながりにくい状態だという。
全国52カ所にある「いのちの電話」は毎月10日、自殺防止のためにフリーダイヤルで無料の電話相談を実施している。
2011年度の実施報告書によると、のべ87万7996件の電話がかかってきたが、つながったのは3万7130件(約4%)。毎月実施になった08年度と比べると、かかってきた電話は約5倍に増えたのに対し、つながった件数は5561件減った。
「横浜いのちの電話」事務局長の永野肇さんは、「フリーダイヤル相談の日だけでなく、通常の日でも同様に電話がかかりにくい」と話す。横浜いのちの電話は常時2〜3人が24時間体制で対応している。現在、登録されているボランティア相談員は245人で、03年度から32人減った。
その一方、昨年度の相談件数は2万2051件で、過去10年を見ると、ほぼ横ばい状況。見方を変えると、現在の体制で対応できる限界値とも考えられており、つながりやすくするためには、相談員の確保が不可欠だ。横浜いのちの電話では毎年、相談員を募集しているが、40人の定員はなかなか埋まらないという。
研修1年 負担10万超
相談員になるためには1年間の研修のほか、合宿などへの参加が必要だ。費用は基本自己負担で、最大10万7千円。さらに適正審査があるため、最終的に相談員に認定される人数は、応募時の半数になる場合もある。相談員の高齢化も進み、新しく入る人より、辞める人の方が多いのが現状だ。
こうした現状を受け6月22日、総務省は「自殺防止に重要な役割を果たしており、支援が必要」とし、内閣府や厚生労働省に改善を勧告した。現在、横浜いのちの電話は市民からの寄付金や県・市の補助金で運営。市は施設を無料提供して支援する。
永野さんは「資金面はもちろんだが、募集の告知をするなど相談員を増やすような支援にも力を入れてほしい」と広報面のバックアップに期待している。
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