市建築基準条例一部改正 個室型店舗の避難路 強化 カラオケボックス等対象
横浜市は「市建築基準条例」の一部を改正し、新築のカラオケボックスなどを対象に、火災時などに利用者の避難経路を確保するため、建築基準を強化した。2つ以上の地上へ通じる直通階段の設置などを求めており、違反者には罰金が科せられる。改正条例は12月1日、施行される。
条例改正のきっかけとなったのは2008年、大阪市の個室ビデオ店で火災により、26人の死傷者を出した事件。
横浜市ではこの事態を受け、「個室ビデオ店等」を建築基準法における「遊技場」と位置づけ、建築基準を強化した改正条例を今年6月に公布していた。
対象建築物は、新築・増築・用途変更を行う、個室ビデオ店、カラオケボックス、インターネットカフェ・漫画喫茶などだ。
条例改正により【1】両側に個室がある廊下の幅を1・2m以上にする【2】避難時に1つの経路が遮断された場合でも異なる経路で避難できるよう、個室がある階から地上に通じる2つ以上の直通階段の設置【3】1カ所の出口に客が集中することによる混乱防止や2方向の避難を確保するため、店舗の出口を廊下または屋外などに面して2カ所以上設置するなどとなっている。条例に違反した場合は50万円以下の罰金が科せられる。
市は改正条例案への意見を、対象となる211施設に事前に聞いており、「2カ所の出口設置は、店の警備上から厳しい」などの声があがったという。また、市内でカラオケボックスを経営する男性は本紙の取材に「条例の重要性は理解するが、設備投資に資金がかかり、反対」と話す。一方、市は「火災予防の観点から全体としては理解してもらった」との見解だ。
既存施設は「定期報告」
既存施設は条例の対象外だが、市では、建築物を適切に維持管理するための「定期報告」の義務化をする方針だ。これまでは映画館や病院などが義務化されていたが、カラオケボックスなども年1回市に対し、施設の非常用照明などが適切に機能しているか報告する。こちらは来年4月から義務化する予定という。
市は「県内自治体でこの案件での条例改正は初めて。市民の命を守るためと理解してほしい」と話している。
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