神奈川区老人クラブ連合会の会長として高齢者の居場所づくりを推進する 田中 隆博さん 六角橋在住 81歳
「健康寿命」長い地域に
○…区内には159の老人クラブがある。近年は、団塊世代のサラリーマンが退職年齢に達するなど、毎年約700人もの高齢者が入会する。「健康」「友愛」「奉仕」をモットーに、シルバーリーダーとして交通安全などを指導するほか、10月には会員2千人が参加する運動会も企画している。「独自に運営しているのは、市内でも神奈川区だけです」と胸を張る。
○…山梨県で生まれ、神奈川区で育った。横浜大空襲を経験するなど、白幡小に通った少年時代は、戦争の記憶しかない。「戦後の混乱期は食べるのに必死だった」。工場で働きながら神奈川大を卒業。26歳で日産の関連会社に転職すると、高度経済成長とともに会社も拡大。経理・人事畑で全国を渡り歩き、47歳で役員に。定年で第一線は退いたが、嘱託として67歳まで勤め上げた仕事人だ。「休みも取れないほど、とにかく働いた」と自負する。
○…リタイヤ後、すぐに地元の老人クラブの会長に抜擢された。「やっと自由な時間を満喫できると思っていたのに」と笑う。一昨年からは、区老連の会長として9831人を束ねる立場となった。しかし、会員たちは皆ボランティア。会社役員時代とは違い、独断で物事を決められないもどかしさもある。
○…赴任は、いつも家族が一緒だった。「地方で暮らせば暮らすほど、横浜の良さが身に染みた」と振り返る。妻と1男1女をもうけ、現在は孫4人の成長を見守る「おじいちゃん」。酒・タバコはやらない。唯一の趣味が切手。今でも都内まで買い付けに行く、60年来のコレクターだ。
○…会長として注力するのが、独居老人のための居場所づくり。「友愛」の精神にも通じる「高齢者サロン」を区内に根付かせ、「健康寿命」を延ばすことが大目標。そして、会員数1万人超へ。「健康のまま長生きできれば一番いい。元気な高齢者が活躍できる。そんな地域にしていきたい」