70代にして「日本百名山」を制覇した 砺波(となみ) 邦夫さん 反町在住 73歳
山登りは人生だ
○…先月9日、北海道利尻島の利尻山(1718m)に登頂。初めて山に登ってから、実に59年の時を経て深田久弥が提唱した「日本百名山」を制覇した。70歳を超えてから約50の山に登った。「登っている時は無心。その状態が好き」。山を登る中で、九死に一生を得たことも何度もある。そんな様子を見て「危ないから」と、妻と3人の息子には何度も止められた。制覇した山が90を超えた頃には、妻も「どうせなら100まで頑張って」と応援してくれるようになった。
○…山との出会いは中学3年生の時、夏休みに担任の先生が富士山に連れて行ってくれた。初登山にして、日本一の山。「正直苦しかったが、頂上で見た景色に感動した」。その後、大学でワンダーフォーゲル部に入部。たくさんの山に登った。しかし、卒業後は金物の卸業を継いで仕事一筋。4年前に会社を畳むまで、山に登ることはなかった。再び山に登ったのは、70歳の誕生日。以来、山の虜になった。
○…生まれは鶴屋町で、現在は反町に住んでいる。仕事を引退してからは、幸ヶ谷公園コミュニティハウスが憩いの場所だ。習字や読書など、ゆったりとした時間を過ごしている。「のんびりしてるとだんだん気持ちが高ぶってくるんですよ。また、山に行こうって」。週に1回はスポーツセンターに通い、体力作りも欠かさない。あらゆる日常が、山に通じる。
○…最近の登山のあり方に思うところもある。「山は登って下りるもの。下まで下りてこそ、その山を制覇したと言える」。有名人などが、登頂後にヘリコプターなどで下山する風潮に強い違和感を示す。苦しい時も一歩一歩進む。苦しんだからこそ頂上での達成感が大きくなる。そして、山を下る。登山は、実は下りの方が大変だ。喜びの後に、再び苦しい思いもする。「それも良い経験。人生と同じです」今後は「妻と一緒に温泉のある山にでも登りたい」と優しく微笑む。
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