連載コーナー「ハマの“地産地消”レシピ」が始まった 椿 直樹さん 松見町在住 48歳
地産地消の仕事人
○…横浜駅西口の飲食店「大ど根性ホルモン」のオーナーシェフは、野菜だけでなく肉や調味料まで横浜産にこだわる。こうした地産地消の店づくりは、他の追随を許さない。店名からも「その土地に根ざして生きていく」という心意気が伝わってくる。昨年4月に移転オープンした店内には、生産者のイラストや紹介文を掲示。「生産者の顔が見える料理を提供したい」との思いからだ。
○…保土ケ谷区出身。野菜嫌いで、特に祖父が作る家庭菜園のニンジンは苦手だった。調理師を志したのは中3のころ。「風邪で寝込む母に目玉焼きを作ってあげたら、喜んでくれてさ」と破顔一笑。高校進学と同時に洋食屋でアルバイトを開始。専門学校を卒業後、国内外の名だたるフレンチレストランで修業を積んだ。順風な調理師人生は一転、決まりかけていた就職先が反故にされ3カ月間も無職に。「様々な分野を経験するべきだと痛感した」。その後、和食やアメリカ、スペイン、イタリアなどの料理店を渡り歩いた。
○…地場野菜を専門的に扱うようになったのは、全国野菜フェアで「神奈川県野菜」に出会ったことがきっかけ。「子どもの頃に食べたあのニンジンの味だ」。地場野菜の持つパワーに心を鷲づかみにされ、2003年に「横浜野菜推進委員会」を設立。料理を通した食育活動に携わり、09年には神奈川県で初めて農林水産省が認定する「地産地消の仕事人」に選ばれた。
○…半年間、毎日のように生産者のもとに通い、ナスの直送を認められた。あれから15年。現在は約20件の農家と、80種類以上の野菜を取引する。「区内産だとキャベツやカリフラワーが美味しいね」。地産地消がライフワーク。たまの休日も、小3の娘を連れて生産者の畑に行く。「オール横浜野菜」の目途がつき、市内に2店舗目を開店する予定。「どんどんローカル色を強くしていきたいね」と夢は尽きない。