4月から神奈川区の消防署長に就任し、減災に尽力する 武笠(むかさ) 基和さん 神奈川区在勤 58歳
基本を忠実に区守る
○…今年4月から神奈川区の消防署長に就任。170人の署員を牽引し、区の減災に尽力する。「神奈川区は石油コンビナートなどを有する臨海部や昔ながらの街並みが残る住宅密集地もあり、バラエティに富んだ地区の印象を持った」と赴任時を振り返る。同時に「火災や地震の時には、あらゆる災害に対応していかなければならない」と背筋を伸ばし、「区の関係機関や区民の方と連携しながら地域の減災に貢献していきたい」と意気込む。
〇…川崎市高津区に生まれる。父も消防士を務めていた。事あるごとに家を飛び出していく父をみて「大変な仕事」という印象から子どもの頃は消防士を目指そうとは思わなかった。大学を卒業し、食品関係の会社に就職。3年ほど働く中で「もっと身近に社会貢献ができる仕事に就きたい」との思いが芽生えた。消防士になると決めたのは、地域のために全力で働く父の姿があった。26歳で消防学校に入り、消防士の道を歩み始めた。
〇…消防学校に通うなかで、救助隊に憧れを持った。先輩の訓練の様子を見て、「かっこいい」と感じたことが素直な気持ち。初めて赴任した勤務地は綱島の救助隊だった。災害現場に赴き、要救助者を迅速に救急隊へ引き継ぐことが重要な役割だ。現場の経験から迅速な動きは、基本の積み重ねが大切になることに気付いた。「普段から基本を振り返ることで、いざというときにスムーズな動きができる」と自負。管理職の立場になった今でも「基本」を大切にする指導を心がけている。
〇…東日本大震災時には、福島の原子力発電所に水を供給する部隊の副指揮官として舵を取った。署員の安全の確保も大切なことと改めて感じた。「全体を俯瞰する目を大切にしていきたい」と気を引き締める。5人家族で暮らし、その空間が一番リラックスできる場所だ。休日は妻とハイキングに出かけることも楽しみのひとつになっている。