テロ対策訓練の総指揮を担った 谷本 和夫さん 神奈川消防署 53歳
多角的な視点で災害対応
○…横浜市や神奈川区など6機関連携で行ったテロ災害への対応訓練の総指揮役を担った。「まだまだ各機関で連携不足なところがみられた」と物足りない表情で語るが「実際にテロ災害を想定して実践できたことは大きな経験。各機関で課題を持ち帰り、いざという時にしっかり人命を守れる準備をしていきたい」と前を向く。
○…金沢区に生まれた。「子どもの頃はやんちゃでした」と笑顔で話す。小学5年から野球を始めた。4番でサードの花形選手だった。高校卒業後、公務員を目指す中で、巡り合ったのが消防隊員だ。鶴見消防署で8年間警防課に勤務し、現場の第一線で人命救助を行った。「消防車に乗ると、人命を守る任務を遂行する自分が誇らしく思えた」と消防士の道にのめり込んだ。
○…「消火活動一つにしても、地域住民に隊員と同じような指導では上手く伝わらない」。予防課に13年間勤務した経験は気づきが多かった。災害が起こったとき、最初に救助活動にあたるのは地域で結成される消防団だ。「地域連携が災害対応の第一歩。だからこそ目線を同じくして共助できる関係性を作り上げることが何よりも大切だとわかった」。現在は、現場を指揮する消防指令を務める。「多くの部署で経験したからこそ見えるものがある。若手にも挑戦してほしい」と後進育成にも力を入れる。
○…子ども3人に恵まれた。「子どもが小さいころはたくさん遊びに行ったし、自転車も鉄棒も全部教えた」と懐かしむ。山登りが趣味。「次は槍ヶ岳を目指している。頂上に行きたい気持ちが足を動かす」と一人で行くことも。神奈川署には今年から配属された。「地域の方の安全はもちろん、部下の命を守るのも私の仕事。より気を引き締めて災害救助活動に臨みたい」