川崎市 量的改革から質的改革へ 行財政改革の考え示す
川崎市は7月16日、「行財政改革に関する計画の考え方と取組の方向性」を発表した。財政危機宣言を行った02年以来、行政のスリム化を図りながら財源確保を主眼とした量的改革を行ってきた。新たな考え方では、市民満足度を視点に質的改革に取り組み、「ヒト・モノ・カネ・情報」の経営資源の確保をめざす方針を示した。
川崎市は近年、市税収入が増加傾向にある一方、生活保護世帯の数の増加や待機児童対策の推進などで扶助費が増加し、公債費は毎年700億円を超える規模で推移している。歳出予算に占める義務的経費の割合は2010年度以降、50%を超え、財政の硬直化が進んでいるという。
これまでの行財政改革で職員削減を図ってきたが、増加する扶助費で相殺される状況が続いていた。市の見通しでは18年度までに収支不足が見込まれる。
今回発表した行財政改革の考え方では、基本理念に▽市民サービスの「質的改革」の推進▽市役所内部の「質的改革」の推進▽効率的・効果的な行財政運営による「持続可能な最幸のまち」の実現――の3つを掲げた。
市の事業を効率的・効果的に進めるため、民間の活用や事業の再構築を図る。施設の長寿命化や資産保有の見直しも進める。また、市税などの債権確保の強化や受益者負担の原則に基づいて施設の利用料や使用料を設定する。市有地の広告事業や余剰地・余剰床の貸付も行い、財源を確保する。
各局の具体的な取組も示した。例えば、総務局は指定管理者制度を導入している施設の管理運営手法を見直す。そのほか、職員の給与制度や福利厚生事業を見直すほか、職場改善や人事評価制度も見直す。
市民・子ども局は公立保育所の民営化、公設民営保育所の民設民営化を図るほか、こども文化センターの今後のあり方を検討する。
計画期間は16年度と17年度の2カ年。来年2月に計画案を公表し、3月に計画を策定する方針。
市はこの考えについて、市民からの意見を受け付けるパブリックコメントを8月31日まで実施する。
8月23日に川崎市総合福祉センター(エポックなかはら)で内容の説明や意見交換を行う市民車座集会を開く。9月には市内3カ所で市民参加型のワークショップも開く。
問い合わせは市総務局行財政改革室(【電話】044・200・2050)へ。
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