小台の測量会社・(株)日豊(植田伸一代表取締役)ら共同研究者と川崎市がこのほど、市内の大規模盛土造成地の地盤変動を衛星システムなどを活用して監視する共同研究を開始した。日本初の取り組みに、植田代表取締役は「地域企業として、地域の安心安全に貢献したい」と話している。
昨年夏に発生した、静岡県熱海市での大規模盛土造成地の崩落事故が契機となった。大規模盛土造成地を目視でのアナログ検査をしていた市に対して植田代表取締役は「根拠に基づいた地域のイノベーションに貢献できないか」とデジタル化を8月に提案。崩落の兆候を早期把握できることから市は、今年4月に同社と(株)三矢研究所(麻生区)、清水建設(株)(東京都)、(株)マップル(同)など7の共同研究者と共同研究契約を締結した。
市営住宅や区役所など市内各区にGNSS(※1)連続観測点を設置。これを基準に、市内の大規模盛土造成地に観測点を設け、GNSS測量と干渉SAR(※2)を統合解析して、地盤変動を監視する。年数回の定期観測により、地盤変動を詳細に監視し、大規模盛土造成地の経過観察に生かす。
市は、2006年から大規模盛土造成地を調査し、優先観察箇所を選定してきた。衛星システムを活用して位置座標が算出できるようになることで、地球上でどれだけ変動があったかが詳細に分かるようになる。地上からはドローンや3Dスキャナーも活用してデータを補足する。市は今後、大きな変動があった際には詳細な調査を進めるとし、担当者は「民間と力を合わせることで、市民の安心安全につながれば」と話している。
川崎から世界へ
同社によると、川崎市は全国で3番目に盛土の多い地域だという。そこで今後の研究では、変動量を含めたデータベースの構築や地図作成を行なっていく。3Dに時間軸をプラスした4Dで、最新の座標や変動量、変動速度を反映したデータを管理。時間変化を考慮することで、未来の座標を予測できる『四次元ダイナミック(動的)座標管理』導入に向けた技術などを研究開発していく。植田代表は「責任あるが、やりがいもある大きなプロジェクト。良い成果を出し、川崎から世界へ発信できれば。地元企業として貢献したい」と抱負を述べる。
同社は1971年創業。国土地理院やJICA(国際協力機構)などから業務受託しているほか、空港やロケット関係、東日本大震災や熊本地震を受けての精密測量など、国内外で業務を行っている。
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