町田市内で団地再生の取り組みが進む中、成瀬エリアでは団地からつながりが生まれ始めている。3年前からUR都市機構(独立行政法人都市再生機構)と協力し、団地に入る共有型のオフィスが進めている取り組みで、「関わりが生まれにくいという集合住宅の課題を解決したい」と同施設代表は意気込んでいる。
つながりを生んでいるのはコワーキングスペース&シェアキッチン「TENT成瀬」。市外などでもつながりづくりを進めるステップチェンジ株式会社が運営しているスポットで事業を展開するなか、「集合住宅は人と人とのつながりが薄いと感じていた」と代表の松村直輔さんは振り返る。
団地活性の取り組みにあたるUR都市機構が管理する「成瀬駅前ハイツ」に入り、「ツナガルナルセ」と名づけた様々なイベントを3年前から開催。昨夏のビアガーデンでは予想を超える盛り上りをみせ、催しを重ねるうちに「次の機会に出店したい」という声が地元の店から上がるようになっているという。月に一度開催しているイベントの出店数は当初の10から倍以上に増えた。
イベントのスタッフで成瀬に長く住む増田久美子さんは「駅前がさびしいと思っていたが、ツナガルナルセが開催されるようになり、街の雰囲気が変わってきたと思う。地元が活気づき、うれしい限り」と笑顔をみせる。
3・11きっかけに
松村さんが集合住宅におけるつながりの大切さを考えるようになったのは東日本大震災だった。災害のなか、人と人のつながりが被害を減らしたことに着目し、「改めて関係性づくりを積極的に行うことの必要性を再確認した出来事でした」と話す。
集合住宅に関するアンケートをとったところ、「近隣世帯が災害のため動けなくなっていたらどうするか」という問いに対し、「助けたい」と考える人が多かった一方で、「どの部屋にどんな人が住んでいるか分からない」という結果が出た。そこで、人のつながりを生むための手段として行き着いたのが、コワーキングスペース事業だった。「地元に仕事場があれば、通勤時間が短縮され、街の消費活動も増える。地元での交流が生まれると考えた」と松村さん。そこからつながりが生まれたことがイベントの成功につながっているという。そして今後について松村さんは「団地そのものの活性化という視点ではまだ伸びしろがある。また、高齢化問題にも取り組んでいければ」としている。
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