中小事業主・起業をめざす人へ 第9話 小規模企業のIT活用 あつぎみらい21 中小企業診断士 岩崎 彰吾
小規模企業の方が「ITの活用」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、ホームページの作成だと思います。では実際のところ小規模企業はどのようなことにITを活用されているのでしょう?
小規模企業のIT活用の現状
2013年版中小企業白書によると、自社ホームページの開設等、小規模事業者のIT導入は着実に進んでいます。一方、経営課題の解決のためにITを活用している、と回答した企業は少ないのが現状です。ITを導入していない企業は、理由として「導入効果が分からない」、「コスト負担面から」、「IT人材不足」などをあげています。
次に、経済産業省が主催する「中小企業IT経営力大賞」(注1)を受賞した小規模企業56社がどのようにITを活用しているかを見てみたいと思います。
最も多いのは財務会計、販売管理、生産管理などの業務システムの導入事例で全体の45%を占めます。次いで多いのがホームページ関連であり、新規顧客の集客や会員管理等への活用事例が33%、ネットショップの事例が11%です。一概にホームページといっても、様々な用途に活用されていることが分かります。
小規模企業のIT活用
小規模企業は経営課題を解決するために積極的にITを活用すべきでしょう。現在は低価格なパッケージソフトやクラウドサービスが多数存在します。予算面や人材面などを考慮し、自社にぴったりのツールを選ぶ必要があります。ツール選びに悩む場合は、専門家に相談するのもよいと思います。
また昨今のネット販売の急速な普及の一方で、小規模企業はこの機会を十分に活かせていないのが現状です。
2014年度版白書によると、小規模事業者の半数以上の企業は自社のホームページを持っていません。ホームページを持っていても、製品販売・予約受け付けを行なっている企業は1割程度、ネットショップへの出店・出品している企業は1割を切っています。販路開拓という側面から、対応が急がれる分野でしょう。
ITは道具であり、その活用がポイントです。導入しただけでは効果は出ません。道具をうまく活用して不足する経営資源を補い最大限の効果を発揮させましょう。
(注1)経済産業省が主催する表彰制度。優れたIT経営を実現し、他の中小企業がIT経営に取り組む際の参考となるような中小企業や組織に贈られる。
筆者/岩崎 彰吾(中小企業診断士・ITコーディネーター)※あつぎみらい21コラム「経営講座」より
☆このコーナーは中小企業診断士を中心に、県央地域の振興のために活動している団体「NPOあつぎみらい21」の協力による連載です。
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4月19日