市内森の里の若宮公園に、かつて北海道で活躍した蒸気機関車D511119が展示されている。この車体が本厚木駅前から同公園に”引っ越し”たのは1983(昭和58)年2月23日。35年前のきょうだった。
同園のD51は、名古屋の日本車輛製造株式会社(明治29年創業)で昭和19年に造られた、日本で1119番目のテンダー機関車。大宮(埼玉県)や高山(岐阜県)などを走っていたほか、雑誌『鉄道ピクトリアル』の平成26年9月号には、都内目白駅構内に進入する様子のモノクロ写真が掲載されている。昭和37年には北海道に渡り、室蘭本線などを走った後、51年に廃車になった。
『広報あつぎ』昭和51年8月1日号によると、このD51は同年7月25日に北海道から来厚。当時の石井忠重厚木市長が国鉄に掛け合い、「無償貸与を受けた」とある。市福祉会館前に広場が整備され、その年の鮎まつりで市民ら数百人が参加して公開記念式典が行われた。当時と変わらず中町に店を構える大繁水産の2代目、藍田雅宏さん(71)は「公開当時に車体の中に入った思い出がある。近所の子どもたちも遊んでいたかな」と記憶を語る。
その後、中町再開発事業によりダックシティ厚木(現イオン厚木店)や市立体駐車場などの整備が進んだことに加え、地元住民から広域避難場所を求める声があがったため、移設が決定。58年2月23日午前4時半、重量86トン、全長20m高さ4mの車体を3つに分解し、30トントレーラー4台に分乗され、約1時間かけて若宮公園へ移動した。
現在は厚木市D51蒸気機関車保存会が車体やその周辺の清掃、年3回のミニSL運転会などを行っている。保存会の笹山恵一郎会長(81)ほか会員約10人は、1カ月に1度ほど緑ヶ丘公民館で模型運転会を開催。子どもから大人まで電車の魅力を伝えている。運転会は見学自由。次回は3月25日(日)午前10時〜午後3時。
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