厚木中央公園で子どもたちが絵を描き、作品を誰かのおやつに交換する「青空おやつ」活動が、第16回かながわ子ども・子育て支援草の根賞に選ばれた。小さな優しさを持ち寄る仕組みが「新しい子育て支援の形」と評価され、県内外からも賛同が寄せられている。
公園の一角に敷かれた四畳半ほどのブルーシート。青空おやつの看板を囲むように子どもたちがクレパスを握る。絵のテーマは「まほうのステッキがあったら」「何かにヒゲをはやす」などユニークなものばかり。完成した作品をスタッフに渡すと、おやつと交換してもらえる。
このイベントを続けるために欠かせない、おやつを確保する手段が「おやつのたね」だ。ネット上で販売し、企画に賛同してくれた人が購入する。運営側はお礼状とともに、子どもたちの描いた作品を送る。そして次回開催用のおやつが確保できる。こうした顔の見えない賛同者たちがサイクルを支え、これまで28回続いてきた。
子どもたちは描くことで誰かの役に立つことを感じられる。毎回参加する子や、会場で手伝ってくれる子もいるという。
この仕組みを考えたのは、厚木市寿町のデザイン事務所「ティラミス」の鈴木洋子さん(47)と共同経営者の松村剛司さん(45)。きっかけは5年ほど前に参加した「緑のまつり」。会場で子どもたちに緑に関する絵を描いてもらい、すごろくをプレゼントした。楽しそうな子どもたちの姿の中に、お風呂に入っていないと思われる子がいた。まだ涼しい季節なのに、薄手の服を着ている。イベント後にコロナ禍となり、学校給食中止のニュースが目に入った。「あの子はどうしているのかな」――その思い出がきっかけで「あおぞらおやつ」の仕組みを思いついた。市に公園利用を相談し、3年前に第1回が実現した。「おやつのたね」を購入してくれる賛同者は、厚木市だけでなく、遠くは関西在住の人もいる。もっと多くの人が気軽に参加できる仕組みづくりが課題だ。「子どもたちが楽しんでくれればそれでいい。大人になって『良かったな』と思い出したり、思い出さなくてもいい」と松村さん。
次回は3月25日午後1時半から厚木中央公園で予定。雨天中止。詳しくは「あおぞらおやつ」でネット検索を。
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