5月18日まで鳶尾「もりや亭」で鉛筆画を展示している 平居 拓也さん 厚木市森の里在住 39歳
鉛筆握りデジタル超える
○…厚木市鳶尾の「もりや亭」に展示する精密な鉛筆画が、来場者をうならせている。作品の主なモチーフは猫。瞳の中に描きこまれた光の粒が透明感を生み、1本ずつ描かれた細かな毛並みがふわりとした質感を伝え、一見しただけでは鉛筆画とは思えない。黒を塗っては消すを繰り返して白を出すこともあれば、あらかじめ鋭い鉄筆で筋をつけて、白を浮き出させるなど手法も様々だ。記者の乗る車をさし「真っ白な車にも、そこには様々な白がある。風景を眺めていても、こうして誰かに向き合う時も、どこかで陰影を意識して見てますね」。
○…森の里中学校の頃に、ふと遊んでいたゲームのパッケージイラストを模写した。鉛筆を動かしているうちに、対象を立体で捉えるデッサンの大切さに気づき、さらに没頭。専門学校時代はパソコンを使った3D技術を学び、生活雑貨などを扱う販売業界へ就職。絵の腕を生かして販促POPを手作りし、夏休み前に工作材料を一押しするため、見本を作って添えた。これに来店者が見入り「売って」と求められたことも。作る喜びを改めて感じ、再びアートの世界へ。
○…今はデッサンの講師として教えながら、鉛筆画の依頼を受けている。数種類の鉛筆を持ち替え、一日8時間作業する日も。趣味は全国の城めぐりで、デッサンのモチーフにもしている。忙しさもあり地元の厚木はあまり歩かなくなった。繁華街にあったCDショップに通い詰めたのも昔話だ。ダウンロードしたり撮影や加工が簡単にできる時代に、鉛筆でアナログの力を世に問うよう。目標を聞くと「できれば自分で生み出した架空の生き物が描きたい。需要はあるかな」。超絶技巧に、創意を注ぐ日が待ち遠しい。
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5月10日