馬琴と崋山
物語の舞台になりにくい厚木です。映画でもドラマでも、厚木が登場する作品は少ないと思われます。ならば自分で生もうと思い、厚木をフューチャーした新作を創ることにしました。
江戸時代末期に、渡辺崋山という人がいました。三河田原藩の家老であり、著名な絵師でもあった二刀流の才人です。この人が厚木に数日滞在して絵日記を残しました。タイトルは「游相日記」。厚木天王町の旅籠「万年屋」にて、地元の文化人たちを招き、飲めや歌えで交遊したこと等が描かれています。
侍としての崋山は、後に幕府の鎖国政策を非難したという嫌疑で罰され、切腹で果てる悲劇の人ですが、そんな歴史上の偉人が江戸時代の厚木の庶民と交わり、その様子を生き生きと描き写していることが興味深くそこから新作の構想を得ました。
この崋山より少し前、もうひとり江戸文化の大立者が厚木に逗留しました。江戸のベストセラー「南総里見八犬伝」を書きあげた滝沢馬琴です。しかも馬琴の息子が崋山の友人であり、その息子が早死にした際、崋山が遺影を描いて馬琴に贈呈した逸話もあります。大山詣りの中継地として、また人と物が忙しく行きかう相模川の要所として栄えた厚木は、当時の文化芸術の交差点でもあったのです。
私の主宰する扉座が、厚木で定期的に公演をさせて頂くようになって23年、時代劇に厚木を登場させるという初の試みに挑みます。
厚木シアタープロジェクト第34回公演劇団扉座「神遊(こころがよい)馬琴と崋山」(作・演出/横内謙介)
6月4日(土)18時・5日(日)14時/厚木市文化会館小ホール
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4月19日