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7月28日の講演会を企画した小田原市遺族会の会長を務める 石綿 義弘さん 酒匂在住 72歳

公開:2015年7月25日

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感謝の気持ちが原動力

 ○…小田原市遺族会の会長として3年目。戦争で親族を失った会員787人を束ねる。恒例の靖国神社参拝や市内の忠魂碑巡拝に加え、今年は終戦70年に合わせた講演会を企画した。1945年8月15日未明、小田原を見舞った空襲がテーマ。「市内での爆撃を知らない人も増えてきた。その惨劇を一人でも多くの人、そして後世に伝えたい」と、使命感溢れる凛とした表情を浮かべる。

 ○…2歳の時、太平洋戦争で出兵した父はベトナムで戦死した。幼いながら感じ取った母の心境。父の事を尋ねることはなく、また母も父の話をすることはなかった。中学教師として生計を立てた母は、女手一つで大学まで通わせてくれた。戦後の混乱期にも関わらず、記憶に残っているのは母の漕ぐ自転車の後ろに乗り、家路を共にした良き思い出ばかり。苦労をまったく感じさせることがなかった亡き母について、「本当に素晴らしい人だった」と口にした。今でも自転車の後ろに子どもを乗せた親子を見ると当時の思い出が蘇り、胸が熱くなるという。

 ○…中学時代の家庭科の授業は母親が担任。同級生はそれをからかうこともなかった。「出会う人にも恵まれていた」。同級生には戦争で親を亡くした同じ境遇の持ち主もいたが、地域の人はその事情を知ってか、分け隔てなく子どもたちを温かく見守ってくれていた。「私の周りにいる人すべてが本当に親切だった。だからこそ、少しでも地域の人の役に立てるのならば」。その思いが、今の活動の原動力となっている。

 ○…月に1度の理事会に向け、パソコンでの冊子づくりが今のライフワーク。28歳から102歳と幅広い会員を抱える一方で、高齢化や会員減少といった課題解決にも奔走する。「思い半ばで亡くなっていった若者たちの無念さを考えると…」。決して忘れてはいけない戦争の惨劇。孫、ひ孫と次の世代へ戦争のない平和の日々を訴え続ける。
 

戦後70年 語り継ぐ戦争の記憶

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