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おだわら市民ミュージカル「小田原時空写真館」の主演・桐生真希役を演じる 辻村 夏穂さん 扇町在住 28歳

公開:2017年8月19日

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こころ動くアクトレス

 ○…「上手いから役をつけるのではない。その場にあった配役をする」。演出家の西川信廣さんの言葉だ。舞台経験はほんの数本。しかも今回与えられた役は主演。「真希ができると思ってもらったことを素直に受け取ろうと思って。精一杯やります」と謙虚な姿勢。ただ、「主演女優」と聞けば頰が緩むのはうれし恥ずかしい証拠だろう。

 ○…生まれは富山。転勤族の父に連れられ埼玉、徳島と転々。厚木高校には小田原から通い、大学は茨城で下宿した。実は、小学3・4年を過ごした徳島で市民ミュージカルに出演。役はシンデレラの王子の側近の使いの者。セリフもほとんどない文字通りの脇役。それに比べて主演女優のセリフは半端じゃない。「演じるとは、役として生きること」。各地を転々とし小田原に戻ってきた彼女は、ひょんなことから小田原に戻ってきた桐生真希とどこかシンクロするのかもしれない。

 ○…話に耳を傾けていると小麦色の肌が目に入る。学生時代にやっていたテニスの名残?と尋ねれば「これは仕事焼け」。市内で幼稚園教諭として働き、「なつほせんせー」と呼ばれ、きっと青空の下で子どもたちに手を引っ張られ一緒に駆け回っているのだろう。名前からてっきり夏生まれかと思いきや、4月生まれ。両親が登った夏の穂高岳の感動が込められている。

 ○…観る側から演じる側へ。元来観劇は好きだったが、これが本当の芸の肥やし。あらゆることを吸収すべく、役をもらってから劇場へ足を運ぶ回数も増えた。お気に入りは劇団四季の「ウィキッド」。動物愛、政治などさまざまなテーマが散りばめられているが、表現の間接さゆえ、観客が気付かされる作品だ。ただ、力むのはナンセンス。「伝えようとすれば押し付けがましくなる。真希は中学生だからピュアさを忘れないように、彼女を演じきります」。観ていても演じていても心が動くという主演女優の舞台が幕をあける。
 

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