小田原版 掲載号:2018年3月24日号
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相模人形芝居下中(しもなか)座の座長を務める 林 美禰子(みねこ)さん 酒匂在住 73歳

笑顔とともに伝統を継承

 ○…伝承によると始まりは江戸時代後期、村を訪れた人形遣いが伝えた人形芝居。かつては地元の農民が、現在は市民の手で受け継いでいる下中座の座長を務める。継承する「相模人形芝居」は国の重要無形民俗文化財だ。「身近なところにあって実際に演じることもできる。やらない手はない」と若々しい笑みをこぼす

 ○…横浜生まれ。高校では新聞部でペンをふるう「少し生意気」な生徒だった。1週間に女生徒は家庭科が4時間あり、技術科が2時間だけの男子生徒は早く帰れることに「これは変です」と校長に直訴したことも。東京教育大(当時)で国文学を専攻する中で相模人形芝居に出会い、卒業論文の研究テーマにもした。活動の「最大の理解者」というご主人は当時東大生。週1回のデートでは共通の本を読んで意見を述べあったと、頬を赤らめる。卒業後、そして結婚し2男1女の育児がひと段落も、相模人形芝居の研究を続けてきた。

 ○…後継者育成のために橘中学校、二宮高校で部活の指導にも力を注ぐ。1体の人形を3人で操る「三人遣い」で、芝居を演じられる様になるまで教えるのは根気がいるが、「スポットライトの輝きと拍手を浴びると一皮むけることがあるの」。引っ込み思案だった生徒が、公演をきっかけに自信をつけ何事にも積極的になる。度々見てきたその姿を思い出しながら目を細める。感動を体験した部員が、卒業後に座員になることも少なくない。

 ○…目下の目標は、地元ゆかりの『曽我兄弟の仇討ち』を上演すること。相模人形芝居用の脚本と音楽の作曲は完成しているが、「どうしたらいいか」と困り顔。新たな人形の衣装や小道具をそろえるのに、多くの文化団体の例に漏れず資金が不足しているという。「小田原を全国に発信する良い機会にもなると思うんです」と、困難な状況の中でも目を輝かせる。観客席を包み込むような拍手を想像しながら、未来への歩みは続く。

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