小田原版 掲載号:2018年5月5日号
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経営する企業が経済産業省から地域未来牽引企業に選定された 小岩井 豊己さん (株)コイワイ代表取締役社長 65歳

原点は家内工業の温もり

 ○…生業とする鋳造の仕事は、3K(きつい・汚い・危険)が代名詞。しかし、「それで良し」と開き直り、イメージを覆そうという考えに至らなかったことを悔いる。「モノづくりに無関心な若者が増えたのは、現場の努力不足もある」。小田原に本社を移して6年。女性や障害者も働きやすい職場環境を整えた今、地域経済を牽引するためにも、モノづくりの魅力を次世代へ伝えたいと意欲を燃やす。

 ○…中学3年の頃、脱サラした父が秦野市で鋳造所を開業。昼夜を問わず懸命に働く、今は亡き父の姿が脳裏に浮かぶ。「正月明けすぐに製品が欲しいと言われたら、年末年始も働きづめ。お客様の期待に応えたい思いが強い人だった」。29歳で会社を継承。2007年には業界で初めて3Dプリンタを導入した。企業規模を考えれば一大決心が必要なほど高価だが、「デジタル化する取引先のニーズに応えないと」と、父譲りの顧客第一の思いが背を押した。

 ○…「人生のひと区切り」と捉える還暦を前に、59歳で走り始めた。「スポーツ歴はゼロ」と笑うが、ランニング教室で妻と練習に励み、湘南国際マラソンを完走して走る楽しさに目覚めた。以来、フルマラソンに挑戦したこと4度。昨年に疲労骨折と診断されたが、「スポーツ選手みたいで嬉しかった」。

 ○…世界進出の第一歩として、目前に控えたインド工場開設。近年は国家事業に参画、航空宇宙部品の開発に携わる。かつては求人に応募がなく悩んだ時期もあったが、今や秦野から小田原を経て、海外そして宇宙へ飛び出さんばかり。それでも「社員や協力メーカーの方の生活向上の手段です」と慎ましい。始まりは社員10人足らずの家内工業。家族総出で父を支えた原点を忘れない。

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