Jazz-Bunraku『涅槃に行った猫』をプロデュースした 横山 眞理子さん 湯河原町吉浜在住 72歳
国と国をつなぐ懸け橋に
○…ジャズと人形芝居を融合させる新ジャンルへの挑戦をやり遂げた。アメリカのジャズミュージシャンと小田原市の下中座を引き合わせ実現させたJazz-Bunraku『涅槃に行った猫』の小田原三の丸ホール公演は、チケットを売り止めにする盛況ぶり。観客からは再演を望む期待の声も。「製作する際はいつもこれで最後と思っているのだけど」
○…幼少期はブラジルで過ごした。「父が商社勤めでね」。通っていたのはイギリス系の学校で、肌の色でいじめに遭っていたという。敗戦国への風当たりも強かった。小6で帰国後も周りに馴染めず「皆が破れたズックを履いている中、革靴で登校していたから」と振り返る。一人で過ごす時間を好み、読書が習慣だった。大学では言語学を専攻。結婚後は駐在員の妻としてアメリカで12年間過ごした。
○…子育てが落ち着いた頃、知人を介してテレビ番組を制作してほしいという誘いを受けた。「声かけられたらできると思ってしまう」と未経験ながらテレビ業界に踏み込んだ。プロデューサーとして、3年間かけて英国放送協会BBCと共同で「言語と人々」をテーマに10本のシリーズを制作。主婦から転身し、新たなキャリアをスタートさせた。以降、途切れることなくテレビや映画、翻訳などの分野で仕事はつながり、伊丹十三、加藤周一、井上ひさしなどのビッグネームともタッグを組んだ。
○…幼少期の経験から「差別」や「疎外」に強い意識を持つ。「自分ではどうしようもない理由でいじめられることもあるけど、一人でも味方がいてくれると救われるもの」。肌や髪の色、服装の違いなどを認め合える温かい世界を思い描く。今の夢は「真鶴駅前に貸本屋さんを開くこと」。
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