社会ボランティア賞を受賞した「すずの会」で代表を務める 塩練(しおねり)雪子さん 市内蓮正寺在住 73歳
言葉の温もりが紡いだ絆
○…「瞳を輝かせ、身じろぎもせず話に聞き入る子どもたち。そんな表情に出会う時、何とも言えない豊かな気持ちになる」。1980年に自身が立ち上げ、代表を務める読み聞かせグループ「すずの会」。長年にわたる地域に密着した活動が評価され、ソロプチミスト日本財団から社会ボランティア賞を受賞した。「自分たちが喜びとする活動なのに、思わぬごほうび。皆で続けてきて良かった」と、控えめに喜びを表す。
○…40歳を前に、生まれ育った新潟県から小田原へ転居。見ず知らずの地で知人もいない生活に、小中学生の子どもたちを学校に見送った後は孤独を感じるばかり。「スーパーで立ち話をしている主婦がまぶしく見えるほど、人とのつながりを求めていた」。新潟にいたころ、ボランティアとして活動に参加していた絵本の読み聞かせ。「小田原にもあるかしら」と、さっそく市立図書館を訪ねた。結局、小田原にグループは存在しなかったが、館長の協力を得て一人で活動を始めることに。チラシを作り、「一人でも来てくれたら読む」という覚悟で迎えた”初公演”。ところが、会場には予想を超える10人の親子が集まっていた。その後、徐々に賛同者が増え、現在は15人のメンバーと活動している。
○…11年前に病で他界した夫の甫(はじめ)さんは書家だった。先立たれた寂しさを癒してくれたのは、作品に遺された言葉『楽しいことが一番 楽しむのが一番』。日頃から「言葉は心のつぶやき」と話していた甫さん。「人は言葉で励まされたり、傷つけられたりもする。子どもたちには心が温かくなるお話を読みたい」
○…メンバーはそれぞれ年を重ね、家族の介護にも忙しくなってきた。だが、30年近い付き合いのなかで、いつしか活動の場以外でも相手を思いやり、助け合える間柄になった。「人とのつながりがほしくて始めた活動だったけれど、きっと求めていたのはこういう形だったのだと思います」
|
|
|
|
|
|