横浜市ふるさと歴史財団の理事長に就任した 五味 文彦さん 茅ヶ崎市在住 67歳
過去と未来のパイプ役
○…都筑区の文化施設として有名な横浜市歴史博物館。その運営団体の公益財団法人横浜市ふるさと歴史財団の理事長にこのほど就任。「皆さんに親しまれる施設にしたい。歴史のおもしろさを紹介できる企画をしていければ」と意気込む。10月12日からは横浜市立大と連携し、江戸時代を中心とした古地図約60点が並ぶ「地球のかたちと万国の大地」を企画する。
〇…大学生時代、日本史を専攻してから現在まで歴史学者として研究を続けてきた。一つの事柄を理解するためには古文書だけでなく、当時の日記、文学作品などからも背景を読み取る。そこで触れた作品に興味を持ち、また研究。知的好奇心は尽きることがない。「歴史上では失敗とされていることからも学ぶことがたくさんある。その積み重ねを現代の人に知ってもらいたい」。先人たちの足跡を後世につなぐパイプ役だ。
〇…山梨県生まれ。幼少期は昆虫採集が好きだった。好奇心旺盛なのは昔から。地元でセミが生息する場所を調べ上げ、分布図を自作することもあった。意外にも幼少期から日本史に興味があったわけではなかったという。東京大学に入学し、「全国を歩いて楽しく日本史の勉強」の宣伝に惹かれ、日本史専攻のゼミに。「当時は勤勉な学生とは言えなかったですね」と笑いながら振り返る。知識が何もない状態で学んだからこそ、新しい知識をぐんぐん吸収し、のめりこんだ。卒業後は母校やお茶の水女子大で教授を続け、現在は放送大学で日本史の奥深さを伝えている。
〇…全国各地を飛び回り、講演の日々が続く。しかし就任直後、病気で入院し、2カ月ほど絶対安静の時期があった。その時はクラシックを聴いて療養し、枕が友達だったという。「ずっと枕と一緒にいたからか、今は枕草子が気になっていて」と笑う。日本史への尽きない好奇心で研究を続け、そのおもしろさを発信していく。
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