聖マリ西部病院 震災に迅速対応 災害対策本部が中核果たす
災害時、多くの生命を預かる地域中核病院はどのように対応、機能するのか―。518床を有する区内の聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院(田口芳雄病院長)では東日本大震災を受け「災害対策本部」を即座に設置。災害時の中核機関として3月28日まで、病院運営の正常化を図った。
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災害対策本部を立ち上げたのは、11日の地震発生直後。基準は震度5以上の地震発生時で、設置は今回が初めてだった。本部のトップである病院長が当時不在だったが、職員数名が「必要」と判断し迅速に動いた。
各部署の担当者で組織された「防災対策小委員会」で日ごろから訓練を重ねていることも大きく役立った。各部署の状況が本部へ一斉に集約され、院内の混乱を抑えられたという。
翌日12日は通常通りに業務を進めたが、13日夜、東京電力から計画停電の知らせが直接同院へ。職員は緊急招集された。大型医療機関の電力供給がストップすれば、オペをはじめとしたあらゆる医療機器が故障する可能性もある。
三次救命救急センターを備えた市の地域中核病院でもある同院は、東電に停電対象を外すよう即座に強く要請。なかなか受け入れられなかったが、要請を続け、17日朝にやっと外された。田口病院長は「ライフラインの次に重要なのは、医療ではないのか。行政側の災害対策にも課題がある」と指摘した。
放射線技師被災地へ
福島第1原子力発電所の事故を受け、同院・診療放射線技師の大内幸敏さんが(社)日本放射線技師会・放射線サーベイヤー派遣隊の副隊長として被災地に赴いた。
大内さんが所属した12人からなる第1クルーは、16日から20日にかけて福島県田村市と郡山市で活動。原発から約40〜50Km圏内で、避難民の被ばく検査や情報収集に奔走した。5日間で4887人を検査し、除染が必要だったのは35人。
大内さんは「東電側は正確な情報を出してほしい」と怒りを投げかけるとともに、「風評被害に惑わされず、冷静な対応を」と強く呼びかけていた。
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