商店が接客を通じて、利用客の悩み事などを傾聴する新事業「旭区こころの健康協力店」が10月10日に始まった。協力するのは理容店と美容店、クリーニング店が加盟する旭区生活衛生協議会(中屋敦子会長)の81店。身近な商店が「聞き役」を担うことで、横浜市は自殺者減少などにもつなげたい考えだ。
旭区生活衛生協議会は区内の理容66店と美容51店、クリーニング6店の計123店が加盟する。旭区生活衛生課では10月2日、専門家を招いて同協議会向けに講習会を開き、話の聞き方などを指導。受講した加盟店が協力店になり、事業がスタートした。
協力店の店頭には、同課が配布した専用ステッカーを掲示。従業員が来店客との対話で傾聴を心がけるほか、自殺やうつ病に関するパンフレット、相談先の電話番号などが書かれたポケットティシュを店内に置いている。
同課の担当者は「(協力店は)専門家ではないので、難しく考えずにまず話を受け止めて、用途に応じて相談先があることを伝えてほしい」と期待を込める。
協力店の一つ、同協議会の中屋会長(77)が営むナカヤアツコ美容室=写真・南希望が丘=には、さまざまな相談が舞い込んでくるという。「『病気で入院した』『夫が亡くなった』とか、お客さんからいろんな話を聞く」と中屋さん。「1対1だと話をしやすいのだと思う。民生委員や地域ケアプラザへのつなぎ役になれれば」と力を込める。
横浜市は2008年以降、政令市の中で自殺者が最多という。市こころの健康相談センターが分析する県警統計データによると、2011年の市内の自殺者数は男性478人、女性244人の計722人。旭区は18区中最多の66人となっている。
旭区高齢・障害支援課では「自殺は追い込まれた末の死。心の悩みにはさまざまな要因が考えられるので、協力店などを通じた見守り体制や、隣人同士のつながりなどが日常的になれば」としている。
電話による相談先は、横浜いのちの電話(【電話】045・335・4343)や、旭区福祉保健センターサービス課(【電話】045・954・6145)などがある。
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