薬膳料理人の松本淳(じゅん)さん(中希望が丘在住)が、昨年11月に中国の北京で開催された「第九回中国薬膳養生料理コンテスト」で全能特別金賞を受賞した。同賞の受賞は日本人としては初の快挙となった。
薬膳の調理技術を競う同大会。70人が参加した個人戦に、松本さんは日本人として唯一エントリー。温菜、冷菜、麺類(小麦粉料理)の3部門すべてで金賞を獲得し、個人戦最高賞の全能特別金賞を受賞した。また、同賞の受賞者8人から、さらに最も優れた上位3人の中にも選出された。
松本さんが同大会に出場したのは今回が初めて。「もともと自分の中で賞を取るつもりはなかったので信じられません」と受賞を驚きながらも、笑顔を見せる。大会では特別な準備は行わず、普段行っている薬膳講座などで振る舞っている料理で勝負。「世界の中で、今の自分の立ち位置を知りたかった」と話す。薬膳についての知識、料理技術、芸術性などが評価対象となったという同大会。飾り付けなどは、事前の準備が認められていたが、税関の規制もあり、松本さんは用意ができなかった。そんな中、最高賞の評価を受けたことについて「薬膳の知識と料理技術が認められたということは価値があると思っています」と大会結果を振り返った。
幼い頃から料理人目指す
群馬県の生まれ。幼少期を大和市で過ごし、高校1年の時、旭区に移り横浜商科大高校(白根)に通った。料理人を志したのは小学生の頃。「父が病気になり、母がパートで働くようになって、朝ご飯を自分で作るようになりました。そうしたら自分で作る料理がおいしくて、料理を楽しく感じたんですよね。それでいつしか当たり前のように自分は料理人になるのだと」。高校卒業後は専門学校で料理を学び、横浜のホテルでフランス料理人としての第一歩を踏み出した。
転機は36歳。ニカラグアの日本大使館で公邸料理長を任された時、体調を崩した。現地にいた日本人鍼灸師に薬草を処方されたことをきっかけに、薬膳の勉強を決意。帰国後、「国際薬膳師」、「国際中医師」の試験に合格し、現在はフリーランスの薬膳料理人として、各地で薬膳講座を実施している。
「まずいイメージ変えたい」
「薬膳って『まずい』とか『にがい』と思われていて、世間から誤解されている。そのイメージを変えたいんです」。松本さんは、薬膳講座を都内などで開催。薬膳の知識を講義した後、参加者にフランス料理をアレンジしたフレンチ薬膳を振る舞うことも。「参加者の皆さんは、講座が終わって帰るころには100%薬膳についてのイメージが変わっていると思います」と自信を見せる。大切なのは薬膳の知識を普段の食事に取り込むことだと言う松本さん。「日々の食事の中で、お母さんの作る手作り料理の中にこそ、薬膳の知識を広めていきたいと思っています」。薬膳に特別な食材を使う必要はなく、一人ひとりの体質に合った食材を選んで料理することが大切だとする。「例えば、子どもが咳をしていたら『じゃあ、今日はこの食材でこうしよう』と。(薬膳の知識が)風邪の予防につながります。『ママはホームドクター、台所は薬局』といつも説明しています」
今後も薬膳料理の良さを伝えていくと話す松本さん。薬膳講座や活動などの情報は、インターネットのブログ「薬膳料理人松本じゅん」で確認できる。
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