逗子警察署の「署内ギャラリー」で作品を展示している 北原 啓介さん 逗子市沼間在住 61歳
第二の人生、絵と共に
○…絵を描き始めたのは警察官になってまだ間もない頃。「なにか趣味でもと始めたんだけど病み付きになっちゃって」。風景に人物に静物画、描きに描いて36年。今では日本最高峰の公募展として知られる日展に3度入選するほどの腕前になった。署内ギャラリーに展示されているのは入選作品2点を含む12点。「そんな大層なものじゃないけど、観た人が何か感じてくれたら嬉しい」とにこり。
○…「これは小坪の漁港、これは出先の町並み、これはね…」。ぱらぱらとめくる片手大のスケッチブック。日ごろ気になった景色や物を時間を見つけては描き留めようとバッグに忍ばせている”相棒”だ。これまで数多くの絵やデッサンを描いてきた。漁港の錆びたアンカーやユニークな店構えのカフェ。絵の題材はいつも「面白い」と思うもの。「上手な人は他にいくらでもいますから。僕にとって大事なのは個性」。日展で入選した「砂のらくがき」シリーズはとりわけ「他の人が描いていたら僕の真似」と自負するほど熱をこめた。100号の大画面、砂浜で落書きをする少女。「砂を画材に混ぜて質感を出したんです」と大作を前に満足そう。
○…5年前に警察官を早期退職。それまでは県内各地で交番勤務し、地域の”おまわりさん”として勤めた。「あまり出世する方ではなかったけど」。現在は小坪の交番で相談員として勤める日々。仕事合間の休み時間に相棒片手に近所をふらり。家へ帰れば自宅のアトリエで作品に向かう。「働く時間が減った分、絵を描く時間が増えたかな」。警察官時代には出来なかったそんな今の暮らしも気に入っている。
○…年1度の日展。「今年も挑戦する」と今から気概も十分。「絵は自分にとって何か」と尋ねると「ライフワークで生きがいです」ときっぱり。絵とともにある第二の人生。これからを聴かれると「まぁ楽しんで、のんびり描ければいいかな」と今後の人生に想いを馳せると目尻に皺が寄った。
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