思い出写真をぬり絵に 磯子区岡村の平野さん
昔の白黒写真をイラストに描き起こし、思い出話とともにぬり絵としての楽しんでもらう―そのような取り組みを、磯子区岡村の平野いづみさん(60)が行っている。
平野さんが古い写真をもとにぬり絵用イラストを描くようになったのは、ちょうど1年前。「母がアルツハイマーだったんです。なにかいいリハビリはないかと考えていたとき、近所の人にぬり絵がいいと聞いて、始めました」。
最初に描いたのは、果物のイラスト。母親に手渡すと、嬉しそうに次から次へと塗っていったという。「ぬり絵を始める前は、服のボタンを留めることもおぼつかなかった母でしたが、次第に色々なことができるようになって。ぬり絵で脳が活性化されたのか記憶も戻り、昔の話をよく話すようになったんです」。
そこで、昔の家族写真などをイラストとして描き起こすようになった。「ぬり絵をしながら母が私に『これはお父ちゃんだね。これはお前かな』と話すようになって。家族で思い出話に花を咲かせながら、ぬり絵の時間を楽しみました」。
上大岡で個展
母親はそれから4ヵ月後、93歳で息を引き取った。その後も平野さんは写真のぬりえイラストを描き続け、昨年末「母の供養に」と開いた個展は大盛況のうちに終えた。3月22日〜27日(10時〜18時・入場無料※初日14時〜)、上大岡の「ギャラリーひまわりの郷」でアンコール個展の開催も決まっている。「ぬり絵がリハビリや家族の交流に役立つことを実感しました。多くの人に見てもらえれば」。
最近はその評判を聞いた人に頼まれて、写真イラストを描くこともあるという。代金は1枚千円。「本当は代金はいらないんですが、タダだと逆に頼みづらいと言われまして」。イラストの要望は、平野さん【携帯電話】080・3126・3749へ。
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