横浜市は児童虐待対策の充実を図るため、2021年度中に市内10区のこども家庭支援課へ「こども家庭総合支援拠点」の設置を新年度予算案に盛り込んだ。区役所における要保護児童らへの支援や、子どもや家庭からの相談への対応を強化していく狙いがある。
専門職を増員
全国で多発する児童虐待事案を受け、国は全国市区町村に対し、22年度中に同拠点を設置する目標を定めている。専門的な相談対応や調査、支援が必要な家庭の早期発見、虐待の未然防止、再発防止等へ子ども・家庭・妊産婦に向けた切れ目のない支援を目指す。
21年度中に鶴見区、神奈川区、南区、保土ケ谷区、旭区、磯子区、港北区、青葉区、戸塚区、瀬谷区の計10区に同拠点機能を設置。児童虐待対応の専任化を図るため、保健師やこども家庭支援員、社会福祉職等を増員する。22年度中に残りの8区にも整備する計画。
市内の児童虐待相談の対応状況を見ると19年度は1万998件と15年度の5470件の倍以上に増加。経路別でみると区役所では福祉保健センター内での情報把握が20%以上にのぼるため、市民にとって身近な区役所内に同拠点を設置することで丁寧に保護対象家庭等を支えていく。
溢れる一時保護所
20年4月から12月の市内児童虐待対応件数の速報値は8199件で、前年と比べ240件の増加。それに伴い、子どもの安全を確保する一時保護所(4カ所)の定員161人を超える事態が発生している。
定員に対する1日の平均入所人数が昨年7月から180人を超え、12月には199人と20%以上となり定員オーバーとなっている。市担当者によると「通告・相談が増えれば必然的に保護する児童も増える。2人部屋を3人で利用するなど対応している」と話す。
この状況に社会的養護が必要な子ども・家庭を支援する関係者は「本来であれば一時保護が必要なケースでも受け入れが難しい場合があるのでは」と危惧する。
市は今後、ハード面の強化を図るため児童相談所の再整備等を進め、「一時保護所の定員拡充を検討していく」と話している。
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