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中区・西区・南区 人物風土記

公開日:2023.04.13

童謡などを紹介するコミュニティラジオ局の番組で歌詞の先読みを担当する
安元 清史さん
中区本郷町在住 90歳

演劇に捧げてきた人生

 ○…誰もが口ずさめるように、メロディーが流れる前に歌詞を読み上げる「先読み」。その担当として童謡や唱歌、歌謡曲、演歌などを紹介するマリンFMの番組『はらっぱうたごえCLUB』に昨年3月から出演する。放送は毎月第3木曜日午後0時30分から。4月4日には中区本牧町1丁目のスタジオで『春の小川』『花』『めだかの学校』など8曲の歌詞を吹き込んだ。

 ○…ラジオの誘いを受けたのが1年前。いまでは2カ月に1回程度の収録が生活のスパイスになっているようだ。スタジオではマイクの前に座り、ヘッドホンを付け、赤鉛筆を手に歌詞が記載された用紙に対峙する。隣りに座った本牧原地域ケアプラザの職員のサポートを受けながら、読み上げるタイミングを計る眼差しは真剣そのものだ。「声がいいとか言われると、がんばろうって気になるんですよ」

 ○…大分県日田市で過ごした高校生のころに演劇に出会った。進学した福岡学芸大学(現、福岡教育大学)でも入れ込み、放送局の劇団を経て、創設間もない「はぐるま座」=下関市=に入った。「生の声を聞かせにゃいかんでしょ」と5、600人を前にした舞台で演じ、87歳まで現役。「演劇だけに集中できた人生」と、家族をはじめ団員らに感謝する。退団後、息子の誘いもあり3年ほど前に横浜へ。

 ○…「先読みやデイサービスに行くのが仕事と思えば、朝もちゃんと起きられる」とはにかんだ。息子家族の家のすぐ近くで一人暮らし。掃除、洗濯、炊事とすべてをこなす。得意料理は「カレーやシチュー。肉じゃがも大好き。たまにはカツオのたたきもね」とにっこり。愛嬌たっぷりに、これからも先読み”役者”として声を皆に届け続ける。

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