4月30日から桜木町で生徒作品展「港横濱・辰己組きり絵展」を開くきり絵作家 辰己 雅章さん 南区蒔田町在勤 74歳
きり絵が繋いだ人の縁
○…1本のデザインナイフで、ユーモラスな表情をした猫から細部まで表現した風景まで、和紙などを切って描き出す。題材となるのは、万葉集や日本の昔話や謡、風景、世界の童話など。「細かい造形を『すごい』と言われてもあまり嬉しくない。技術より、『絵』として感動してほしいですね」と話す。30日からの展示では、その一端が垣間見れる。
○…奈良県吉野出身。高校時代はラグビー部で、汗を流した。一方で昔から絵を描くことも得意で、「絵で食べていきたい」と進路を相談。ラグビー部の顧問が美術部と兼任していた縁から、日本画家の安井晴雲氏に師事した。だが、ひたすら細い筆で線を描く日々に、2年ほどで上京を決意した。その後、テキスタイルデザインや型染の着物染織に従事。着物染色家として独立するも着物が斜陽産業となり、型染の技術を生かせるきり絵作家に転向する。
○…独立後も家族を養うため、きり絵をやりつつ扇子の絵を描く会社員も経験。しかし会社勤めは性に合わず、長くは続かなかった。退職後は単身、「ただ行きたかった」というスペインへ。創作活動をするでもなく、半年間、毎日大好きなビールを飲んで過ごした。「いい加減な人間が多いから、居心地がいい」と笑う。その自由な風土に魅了され、誕生月の9月はスペインで過ごすことが多いという。
○…これまで国内外問わず、多くのグループ展や個展を主催・出展してきた。横浜開港150周年の記念で作られた「横濱いろはかるた」では絵札を担当。絵本や画集など出版物も少なくない。蒔田町のアトリエで、生徒に教える教室も。きり絵を通して出会った人々は財産に。「いろんな人と出会いますからね。面白いですよ」
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