ピアニストで3月24日の「アルスノバ・クラシックコンサートウィズ・サクソフォーンズ」に出演する 弘中 幸子さん 有馬在住 60歳
特別な一曲、地元で披露
○…「初めて聞いたときに冒頭が衝撃的で、雄大さにバシッとわしづかみされた」というチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番」。3月のコンサートで披露する。これまでにも同曲の演奏機会は何度かあったが、ずっと特別な一曲だ。地元宮前での演奏に「生身の人間が出している音はやっぱり違う。生の音を聞ける機会を楽しんでほしい」と快活に話す。
○…ピアノ演奏に強烈に憧れたのは5歳の頃。ピアニストとバイオリニストの叔父夫妻が演奏する姿に「なんてかっこいいんだろう」と衝撃を受けた。「子どもの頃は練習が好きではなかった」と笑うが、演奏してみたい曲がたくさんあった。だから弾くことを辞めなかった。付属高校から音楽大学、英国への留学を経て、現在は演奏活動もしながら、自宅や音楽教室で講師も務めている。
○…ピアノの調律師だった父の転勤で米国や浜松、横浜などで過ごし、10代で有馬へ。40年以上住む街で思い出深いのが鷺沼プールだ。プールに行く人で駅周辺が盛り上がるのが、夏定番の光景。「でも夏を過ぎると落ち着く街になるのも良くて。プールがなくなったのは大きなショック」と懐かしむ。耳にする音以外にも、香りを楽しむアロマや味を楽しむスパイスなど五感に触れるものに興味がわく。
○…コンサートの打診があったのは昨夏、母の葬儀の翌日。仕事のペースを落とし、1年ほど常に緊張感のある生活を送り、看取ったばかりだった。「このタイミングで声がかかったのは母が最最後に『やれ』と言っているのかなとも思って」と出演を決めた。弾きたい曲はまだまだ多い。「残りの人生で全部の演奏を、とはいかないけれど、少しでも、自分で納得できるものを少人数の前でも届けたい」
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4月26日
4月19日