神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
宮前区版 公開:2012年1月20日 エリアトップへ

戦後70年に寄せた体験記「大正生まれの一人琴」を出版した 和田 義盛さん 宮前平在住 87歳

公開:2012年1月20日

  • LINE
  • hatena

これからも恩返しを

 ○…「原稿用紙800枚くらい書いたかな」。昨年秋、87年の人生を振り返る体験記を書き上げた。中でも陸軍歩兵隊の一人として戦地を巡った太平洋戦争時の内容は貴重。年代や行軍の進路は勿論、兵士として、またシベリア抑留の生活まで細かく記されている。一般販売はしなかったが、国会図書館や区の図書館などには置いた。平和な今だからこそ、「若い人に読んで欲しい」。

 ○…完成までにおよそ2年半かかった。記憶をたどり、文献やかつての戦友らに確認をとりながら少しずつ書き上げた。思い出と呼ぶにはむごすぎることも数多くあった。「一緒にいた仲間が次々と倒れていく。多くのものを失った」。涙を流しながら筆を進めたのも一度や二度ではない。「戦争は絶対にだめなんだ」。少し目を潤ませながら、こぼした一言に、体験者の重みが宿る。

 ○…地元生まれの地元育ち。現在は夫人と二人暮らし。趣味は寺院めぐりを兼ねた小旅行。500〜600キロくらいの距離なら自ら車のハンドルを握り出かけている。慰霊の意味もあり、時には戦友の墓にそっと花を供えることも。「ご遺族をお騒がせしたくなくてね」。古き良き男の不器用な優しさ。昭和60年以降、中国との民間外交にも力を注いだ。自らが進軍した土地を訪れ、人々と触れ合った。何度か訪れる中、観音像を贈られた。「戦火に散った人々への思いは日本も中国も同じだと感じた」。

 ○…米寿を控える87歳だが、気力に溢れ「お年寄り」と呼ぶには早すぎる。その表れが数々の肩書き。県の商店街を束ねる商連かながわの相談役や県暴力追放推進協議会、川崎商工会議所、区観光協会など十指に余る各種団体の要職を務める。昨年秋には長年の地域貢献が認められ、叙勲を受章した。この活動の源は感謝の気持ち。「今までの私を支えてくれた多くの人たちへの恩を返していきたい」。まだまだ現役だ。
 

宮前区版の人物風土記最新6

鴨下 圭一さん

宮前警察署長に就任した

鴨下 圭一さん

神木本町在住 55歳

5月3日

中山 寛隆さん

川崎市制100周年記念で演奏する合唱団に携わる、川崎市合唱連盟の事務局長

中山 寛隆さん

高津区在住 36歳

4月26日

飯田 康行さん

宮前消防署長に就任した

飯田 康行さん

横浜市在住 58歳

4月19日

斎藤 優貴さん

数々の国際ギターコンクールで優勝し、世界を舞台に活躍するギタリスト

斎藤 優貴さん

多摩区出身 26歳

4月12日

森川 敦子さん

運営する学童で企業と共創しSDGsプログラムを実施した

森川 敦子さん

宮前区在勤 38歳

4月5日

佐藤 翠(みどり)さん

川崎市男女共同参画センター「すくらむ21」で居場所事業を担う

佐藤 翠(みどり)さん

東京都在住 32歳

3月29日

意見広告・議会報告政治の村

あっとほーむデスク

  • 4月26日0:00更新

  • 4月19日0:00更新

  • 4月5日0:00更新

宮前区版のあっとほーむデスク一覧へ

コラム一覧へ

宮前区版のコラム一覧へ

バックナンバー最新号:2024年5月4日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook