世界最大級のインディーズバンドコンテスト「エマージェンザ」で優勝したninja beatsのサブメンバーとして演奏した 窪 響(くぼ ひびき)さん 宮前平在住 24歳
津軽三味線でつなぐ縁
〇…「日本の楽器で会場を沸かす音が出せたってワクワクした」。世界最大級のインディーズバンドコンテストは総動員3万人。初めて体験する大舞台に立った興奮はさめやらない。繊細な指使いでかき鳴らす津軽三味線の音色は、観客を熱狂させた。「優勝は『いろいろやっていいよ』と後押しされた気分。自分にしか出せない音を探したい」。次のステップの足掛かりとなる。
〇…津軽三味線との出会いは8歳の時。両親に連れられて行った和太鼓・三味線奏者「AUN」のライブだった。ダイナミックでリズミカルな奏法は「日本ってカッコいいじゃん」と少年心に響いた。母親の影響で洋楽ロックを聞き込んでいた頃。「日本の楽器でもロックができる」と、祖母の使わなくなった琴で3年ほど独学で技術を磨く。中学生の時教室へ通うと津軽三味線の原点となる民謡を知った。即興で演奏されてきた歴史に「その場で音を選び、その場にいる人の心を掴む、ごまかしのきかない音楽」と益々のめり込んだ。
〇…生まれは愛媛県松山。生後半年でがんを患い、左目は義眼となった。治療のため2歳で宮前区に移り住んだ。「ちょっとやそっとでは死なない」と笑う表情には、困難をも楽しむような人柄がにじむ。早稲田大学時代、留学先で2週間、宿無し無一文の状況に陥ったことも。持っていた津軽三味線の路上ライブをすると宿を提供してくれる人、演奏を依頼してくる人と縁が広がった。「津軽三味線を通した方が自分は社会に貢献できるかも」。将来の方向が見え始めた時だ。
〇…在学中に澤田流名取試験に合格し三軒茶屋で教室を開く。一方で大学時代の友人と結成した三味線デュオ「桃響(とうきょう)futari(ふたり)」の活動にも力を入れる。大切にしたいのは「人の縁」。今年の溝口神社宵宮祭に出演したのも、地域でできたつながりがきっかけだ。「人の人生に響く音を一生懸命弾いていきたい」。届いた先に新しい出会いが広がる。
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5月3日
4月26日