経費削減と地域との一体化をめざし川崎市が進める市立学校の学校施設地域管理業務委託事業。現在、次年度の委託先を審査中だが、今回は候補団体がいないため市内7区のうち4区のみの公募となった。事業開始から10年経ったが、当初目標の「各区2校程度」の達成にはまだ時間がかかりそうだ。
川崎市は学校を市民共有の財産とし、スポーツやイベント等で同施設を利活用している地元住民から成る団体に管理業務の委託を進めている。業務内容は主に用務員に代わり学校施設の管理をしてもらうことで、これにより経費の削減や地域の雇用創出なども生み出そうという。
同事業は2005年に地域に開かれた学校施設にするという「かわさき教育プラン」を推進する上で有効な手法として採用。学校側も「より地域が一体となって学校を管理・活用してもらえれば、子どもたちの安全面も含め安心」(秋本和子犬蔵小校長)など歓迎しており、市では当初から「市内各区2校程度で実施したい」としていた。
委託団体の条件は、信頼性の面から市内に事務所を有する非営利の公益活動を行うNPO法人であること。
委託先には、委託料が必要経費として市から支払われるが、労務単価表などに基づき算出。主に人件費だが、修理費用などもここから捻出する。
しかし市の担当者は「利用している団体はあるものの、NPO法人であっても普段は本業を持つ人が多く、対応できない状況。委託先が見つからない」と、事業開始から10年経つが思うように増えていないのが現状だ。
現在来年度の委託団体を5年に一度のプロポーザル方式で募集し審査を進めているが、宮前区、多摩区、高津区の3区に加え今回から中原区が増えたものの、残り3区については候補となる団体がいないため募集もしなかった。
委託を受けすでに8年ほど高津中学校と久末小学校の管理を行ってきたNPO法人「高津総合型スポーツクラブSELF」の平口和宏理事長は、「リタイアしたシニアの方々が、ちょっとした修繕ほか昔培った技術を活かし活躍しており、何よりも子どもたちと身近に接することで元気が出てやりがいを持っている。もちろん報酬面はそれほどではないが、高齢者雇用という面でもすごくいいことだと思っている」と話す。
市は「まだPR不足もあるかもしれない。今後より積極的に各関係者らに周知を図っていきたい」と話す。
またプロポーザル以外にも候補団体があれば審査を行い、1年ごとの契約による委託も行うとしている。
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