川崎市では介護現場での負担軽減を目的に、最新技術を搭載した製品を活用した排泄ケアの実証実験を開始した。その第1弾となる排尿予知機器の実証実験を住宅型有料老人ホーム福寿かわさき高津(佐藤厚子施設長/高津区)で実施。同施設担当者は「排泄ケアの回数も減り、空いた時間を利用者との交流に充てられている」と効果を実感している。
この実証実験は、市に集まる最新機器の情報を介護現場に提供し、導入に向けてサポートすることで、介護者や利用者の環境改善と、福祉分野の産業活性へとつなげていくことがねらい。
特に今回は負担が大きいとされる排泄ケアに注目し、最新機器を実際の介護現場に導入、実験を行っている。現在3種類の製品の実験を行う予定だ。
第1弾の実験としてトリプル・ダブリュー・ジャパン(株)(東京都)が開発した排泄のタイミングを検知する「ディーフリー」を導入した。この機器は、エコーで膀胱の大きさを測定して尿量をリアルタイムで推定、その情報をタブレット端末に無線で送信し、本人や介護者へ排尿予測時間を通知する。また尿量と排尿のタイミングのデータを収集することで個人の傾向を把握できるという。
従来、同施設の排泄ケアは定時(2〜3時間に1回)で行っている。これは介護者が利用者の排泄のタイミングがわからないことが要因。しかし、定時で行うため6、7人の職員でおよそ20人の確認をする作業的な負担や、トイレの混雑でケアが遅れる、また定時直後に排泄してしまい次の定時までオムツがそのままの状態になってしまうことなどが課題となっていた。
しかし、個々のタイミングに合わせた排泄ケアができるようになったことで時間的なロスが減少。さらに午前中だけで20回以上トイレに行っていた頻尿の利用者にはデータを示して説明することで13回に減少したという例もある。
同施設の佐藤さんは「効率的な排泄ケアができるのはありがたい。その分交流の時間が増え、サービスの充実につながった」と話す。また、同社の知花喜与丸さんは「介護者の負担軽減はもちろん利用者皆さんの快適な生活に繋がる製品。実験データを基により精度をあげていきたい」と話した。
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