県の検討会が先月公表した大型台風による臨海部の浸水想定を受け、川崎市は洪水ハザードマップ刷新の必要性を示した。検討会によると、浸水想定は川崎区を中心に最高5メートル。市は7区のマップ改定を完了させたばかりだが、再作成が急務だ。
県の「東京湾沿岸高潮浸水想定検討会」(会長・柴山知也早稲田大学理工学術院教授)は、先月10日、大型台風が東京湾を襲い高潮が発生した場合の想定を明らかにした。
県検討会のシミュレーションは、川崎市川崎区浮島町から三浦市南下浦町の臨海部が対象。中心気圧910ヘクトパスカル(室戸台風/1934年)、暴風半径75キロ、移動速度時速73キロ(伊勢湾台風/59年)の過去最大級の台風が東京湾を通過すると想定している。
川崎市では川崎区の臨海部を中心に最大5メートルの浸水を想定。川崎駅周辺では約4メートルの浸水が想定された。特に地下街などへの被害の拡大も指摘されている。
想定条件には、多摩川や鶴見川の河川氾濫や堤防決壊なども含まれており、沿岸の川崎区だけでなく、市内全域への被害も考えられる。市は想定雨量条件を増やし、昨年から今年にかけて14年ぶりに市内各区の洪水ハザードマップを改定したが、担当者は「今回の想定と現行のハザードマップでは降雨の想定基準が違うため、改定したばかりだが、新たに作らざるを得ない」と話す。
県は、マップに必要な、避難勧告発令判断の基準となる「高潮特別警戒水位」の設定や水防法に基づく「高潮浸水想定区域」の指定を今年度中に行うとしている。
一方で、「現データでは高潮から河川洪水に至る時間軸等も示されておらず、このままではハザードマップに盛り込む避難行動も決められない」と市の担当者は話しており、県にその点の回答を要望している。データが整った上で、来年度早々には新たなハザードマップ作成に着手する見通しだ。予算額、完成時期などは未定だが、担当者によると、1年以上はかかるとみられる。
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