馬絹の伝統的な枝物として知られる「花桃」の出荷が先月末、ピークを迎えた。3月3日の桃の節句に合わせて家庭に届く頃に見頃を迎えるよう、生産者は様々な工夫を凝らす。生産者の吉田義一さんは「一番綺麗な時に楽しんでもらえれば」と話す。
「馬絹の花桃」は「かながわ名産100選」や「かわさき農産物ブランド」に選ばれ、品質の高さで全国的にも高い評価を得ている。
特に、枝を細い紐で束ねる「しおり」の技術は関東屈指とされているという。吉田義一さんは「出荷の時、花を傷めずに運ぶことができる。昔は手作業だったが、現在は機械で効率化を図っている」と話す。
また、家庭に届く頃、綺麗に色づいた花を咲かせる工夫も。室(むろ)と呼ばれる温度と湿度を高くした暗室に入れ、開花時期を調節している。
吉田さんは「今年は台風の塩害で一部の木が傷んでしまったが、それ以外は平均的に寒い日が続き綺麗に色づいている。例年以上では」と話す。
ニーズに合わせ生産
馬絹は江戸時代中期からの花の産地。昨年8月には、馬絹地区の花卉生産者らが花の命に感謝して慰める伝統行事「花供養祭」が100回の節目を迎えた。
吉田さんは「生産技術をしっかり受け継ぎ、伝統を守っていきたい」と話す。現在、吉田さんの作業所では息子の恵一さんや貴次さんが出荷作業に精を出している。「もう息子たちに安心して任せている」と吉田さん。
近頃は短く切り揃えた枝物の需要が増えてきており、60cm程の束も出荷しているという。吉田さんは「品質をしっかり保ちながら、ニーズに合わせて変化していくことが、伝統を守っていく上で大切」と話した。
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