「しあわせを呼ぶコンサート」が今年20回目の節目を迎える。「ベートーベンの『第九』を原語であるドイツ語で歌いたい」という一人の障害者の願いが実り、初開催したのは2000年のこと。現在では区内の障害者施設などから参加者が集い、総勢約130人が出演する大きな舞台に成長した。
「最初は市民館の会議室が会場の小さなコンサートでした」。そう振り返るのは区内在住の音楽プロデューサーで、同コンサート実行委員会の顧問を務める河合由里子さんだ。
「幼い頃に聴いたベートーベンを原語(ドイツ語)で歌いたい」という障害者の声をきっかけに、河合さんはコンサートの立ち上げに尽力。障害者が利用する施設などに協力を呼びかけ、2000年に第1回目のコンサート開催にこぎつけた。
02年には宮前区の主催事業となり、舞台は市民館の大ホールに。プロの演奏家の協力も得られ、現在は神奈川フィルハーモニー管弦楽団の演奏で合唱を披露している。
河合さんは「障害者と健常者が共に助け合ってつくりあげる舞台。これからもずっと、一緒に一つの舞台をつくっていってほしい」と話す。
身近な言葉で練習
現在、本番に向けて練習に熱が入る。合唱経験者でも難しいとされる『第九』。難解なドイツ語の歌詞を覚えるため、コンサート立ち上げ当初から長く合唱指導に携わった声楽家・齊藤新さんが考案したのが「フロイデ」を「風呂で」と身近な言葉に置き換えるレッスン法だ。今も受け継がれており、今年は寺澤直樹さんと倉本洋子さんの2人が8つの障害者施設を訪れて合唱を指導。6月から3カ月間、1施設につき5回の練習を重ねる。
8月8日は障害者支援施設「川崎市れいんぼう川崎」で寺澤さんが指導。1時間ほど『第九』と今回の舞台で披露する『見上げてごらん夜の星を』『パプリカ』『愛は勝つ』を熱心に練習した。この日練習に参加した高橋哲也宮前区長は同コンサートについて「続けることが大切。川崎市も『かわさきパラムーブメント』に取り組んでいるが、様々な機会があることも大切」と話した。
今年のコンサートに出演予定の島村裕子さんは「ドイツ語の発音が難しいので練習をがんばりたい。初めての出演なのでドキドキする」と意気込みを語った。
寺澤さんは「練習は大変だが、みな一生懸命に応えてくれる。出演者と会場が共に盛り上がる舞台は特別なもの」と話す。
28日に市民館で
今年の「しあわせを呼ぶコンサート」は8月28日(水)に宮前市民館大ホールで開催される。午後1時半開演(0時半開場)、入場無料(先着順)。
第1部は「宮前障がい者施設・作業所連絡会」による合唱が披露される。弦楽合奏は来年50周年を迎える神奈川フィルハーモニー管弦楽団が務める。20回記念として、例年2曲だった自由曲を3曲に拡大するという。
第2部はゲストとして全国的に活躍する「荒川知子とファミリーアンサンブル」が登場。『ソレアード〜子どもたちが生まれるとき〜』『ヘンデル/ラルゴ』などを披露する。また、神奈川フィルと客席による合唱のステージ『翼をください』『花は咲く』も予定されている。
コンサートに関する問い合わせは区役所地域振興課【電話】044・856・3134へ。
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