川崎市内の市民活動や生涯学習の場として開放されている学校施設で、音楽室や図書室など特別教室の利用が進んでいない。コミュニティ施策の一つとして学校の活用方法を探るため、市教育委員会は市民協働で特別教室利用のモデル事業を今年度実施している。
学校施設利用は学校ごとに団体登録が必要で、利用は学校活動に支障ない時間帯に限られる。市教委によると、2018年度の学校施設利用回数は合計9万8048回。校庭が2万7364回(夜間利用含めず)で年間総利用数の約3割、体育館が5万8743回で約6割だったのに対し、特別教室は1万1270回と、約1割だった。
モデル事業は「Kawasaki教室シェアリング」と題し、昨年9月と10月にイベントを開催。新城小(中原区)では音楽室の防音性を生かしたダンス教室や家庭科室で防災炊き出し教室等を行い、昨春開校した小杉小(同)では特別活動室をコワーキングスペース(共同作業場)として開放した。
新城小の事業で準備会メンバーの石井秀和さんは「家庭科室で料理教室をやりたいなど、個人活用の意見が出た」と話す。市教委担当者は「災害時の避難所でもある学校の様子を知りたいと参加した人もいた。学校を身近に感じる機会にもなったのでは」と語る。
多摩区の1小学校では施設利用者の利便性向上を検証するため、市はウェブサイトによる施設予約システムを今年度中に試験導入する予定だ。
安全確保に課題
特別教室は一般教室と廊下でつながっている場合も多く、校舎内に関係者以外が出入りしやすくなれば、児童生徒の個人情報保護や安全確保が懸念される。市立小校長の一人は「校庭や体育館はある程度独立性があるが、子どもの学び舎である校舎内を幅広く使ってもらうのはハードルが高い」、石井さんは「親の立場として子どもの安全を守る仕組みづくりが不可欠」と指摘する。
市担当者は「安全確保のために監視カメラや警備員を配置するといったことではなく、施設管理のシステムを今後構築したい」と話している。
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