川崎北税務署の署長として、税への理解を求める 笠(りゅう) 秀則さん 高津区在勤 60歳
最後の年、駆け抜ける
○…所得税の確定申告の件数が、県内でも上位という川崎北税務署。「きちんと円滑に進められるようにしたい」と先を見る。コロナ禍において、密を避けることは鉄則。だからこそ、自宅で手続きできる「e-Taxの利便性を知ってもらいたい」と力を込める。「若手が多く活発」と評する署員らとともに一丸となり取り組む。
○…11月11日から17日は、税を考える週間。「税は『とられる』という感覚になりがちだが、国の財政を支えるもの」。普段見慣れた橋や道路、街を守る警察や消防の活動も税で賄われている。「納めたものは生活に返っていることを認識してほしい」と理解を求める。毎年、中学生から募集する「税についての作文」にもじっくりと目を通す。「内容的にも踏み込んでいて、関心する」。納める立場になる前からの租税教育も重視している。
○…高校3年生のとき、税務職員の友人を持つ父親から同じ道を勧められた。「当時はどんな仕事かピンと来なかった」と苦笑。だが、厳しい研修を乗り越え、税や民法、簿記・会計の知識を身に付けた。「一度決めたらやる」と信念を持ち、目の前の仕事に立ち向かった。思い出深いのは長年関わった、酒税や酒類行政の部門。ワインの表示基準を定めた業務などに携わった。
○…気づけば40年税務職に従事しており、来年7月で定年退職を迎える。残り一年を切ったが、「将来を担う若手をきちんと育てたい」と意気込む。怒れない性格が長所であり、短所という。「ミスがあったとしても、怒るよりも原因究明が大事」と穏やかに語る。一方、「子どもにも全く怒らなかった。ほとんど妻にやってもらってました」。普段の顔が垣間見えた。
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5月3日
4月26日