川崎区・幸区から唯一岩手県警に出向。4月から川崎臨港署の鋼管通交番に勤務する 菅原 晋さん 川崎区小田在住 24歳
「被災地での経験伝えたい」
○…3月まで岩手県警に出向し、東日本大震災で甚大な被害のあった陸前高田市で警察業務の支援を行った。川崎区・幸区管轄の警察署からは唯一の被災地への出向者。上司である川崎臨港警察署の本山巌署長は「出向中と同様、川崎区民に対しても親切に対応してほしい。また常に弱きものの立場で活動する警察官として、業務にあたってほしい」とその経験に期待を寄せている。
○…岩手県一関市出身。故郷は内陸部にあるが、震災直後の沿岸部の光景には愕然とした。部活動の遠征の際に幾度も眺めてきた美しい海岸線は、跡形もなくなっていた。「復興のために、何でもいいから力になりたい」。一昨年11月に警察業務支援の募集がかかると、迷わず手を挙げた。
○…岩手では高田幹部交番に勤務した。一件一件の仮設住宅を訪ねて要望を聞く「巡回連絡」などの業務にあたった。受け持ったのは陸前高田市全域の仮設住宅約500戸。現地では、長びく仮設住宅暮らしのストレスから暴力事件などが増えており、不安を募らせる住民のサポートも、巡回連絡の役割の一つになっていた。不安の声に耳を傾けるうち、1件で1時間近く経っていたこともしばしば。親身に話を聞くことで、安心してくれる人も多かったという。帰任後も「よく話を聞いて、相談してくれる人に対して何ができるのか、より深く考えるようになりました」。今回の出向が、警察官としての幅を広げるきっかけともなっていた。
○…現在常駐する鋼管通交番周辺は「慶長型地震」が起これば最大2mの津波が押し寄せるとされる地域。「陸前高田市では、余震時の避難が迅速だった。巡回連絡の際に、こちらからそういった話を伝えるようにしています」。趣味は友人の勧めで始めたロードバイク。岩手では現地署員と遠野市のサイクリングロードを走ったり、温泉地を巡ったりと、交流のツールにもなった。
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5月3日
4月26日